荷物も上着も全て公園内に置き去りにしたまま、テツヤは黄瀬に腕を引かれるままマンションへと連れてこられた。
今までにない乱暴な態度で寝室に放り込まれたテツヤは抵抗する暇もなく裸に剥かれ、両手を背中で拘束されてベッドに放り投げられる。
慌てて起き上がろうとするよりも早く、テツヤはマウントポジションを取られて柔らかいシーツに俯せに引き倒された。
「やだっ、止めてください!」
「あぁもう煩いな」
ぐいっと髪の毛を掴まれ顔を上げさせられたと思った途端、口に何かを押し込まれた。
固いそれはまるでゴルフボールのようだ。ややして耳の後ろでカチリという音が聞こえてテツヤは頭を解放されて再びベッドに沈んだ。
だが口に押し込められたものが外れる気配はなく、口内に感じる違和感と息苦しさにどうやら猿轡のようなものをされたのだということを察した。
テツヤがされた口枷は所謂ボールギャグという拘束道具の一種で、主にSMなどのアブノーマルなプレイで使われることが多いのだが、SMはおろか一般的なAVですら見たことのないテツヤがそのようなものの存在を知っているわけがない。
閉じることのできない口の端から唾液が溢れて喉へと落ちてくるが、両手を縛められているため拭うこともできない。
拘束された腕、封じられた口。裸に剥かれた姿。
普段とは明らかに違う事態にテツヤが怯えるのは無理もない。
ただひたすらシーツに顔を押し付けて黄瀬の横暴が止むのを待つしかない。
だが、この程度では気が済まない黄瀬は、縮こまって震えるテツヤの腰を掴んで高く持ち上げた。
体勢が戻らないように腰の下にクッションを差しこまれてしまったために嫌でも尻を付きつけるような姿を晒していることに気付いたテツヤだったが、無言の黄瀬から放たれる重苦しい空気に不満を言えるはずもなくされるがままだ。
そのまま足を広げられた状態で固定されてしまい、気が付けばテツヤは黄瀬に尻を差し出しているような体勢にされてしまった。
「ほら、黒子っち。厭らしい恰好になったよ。見てごらん」
羞恥で震えるテツヤの耳に意地の悪い声が響いてテツヤの背が小さく震えた。
寝室の壁には姿見と言うには大きすぎる鏡が設置されている。
2間ほどあるクローゼット、その扉が全て鏡になっているのだ。
つまり、ベッドの様子が余すところなく映し出されてしまう。
テツヤはセックスしている姿を客観的に見せられるのが苦手だ。元々好む人は少ないだろうが、中でもテツヤの拒絶は強い。その原因が最初に撮影された映像にあることは言うまでもないことで、黄瀬もわかっているからかテツヤにそれを強要させたことは今までになかった。
だが今までになかったからと言って今後もないとは限らない。
その証拠のように普段はカーテンで隠してある鏡が今は何も覆われていない。
黄瀬の声に応えるには顔を上げなくてはいけないが、そうすると否が応にも自分の痴態を映した鏡を見なくてはならなくなる。
そのため黄瀬の声を無視してシーツに顔を沈めたままでいたのだが、いくら待っても動かないテツヤに焦れたのか黄瀬が背後からテツヤの髪を乱暴に引っ張った。
頭皮が引き攣れて喉からくぐもった悲鳴が上がる。
「見ろって言ってんだよ」
背筋が震えるような冷たい声が耳元に響いて、テツヤの身体が更に震える。
至近距離から見据える眼差しは凍える程に冷たい。顔が整っているだけにその威圧感と迫力はテツヤが体験したことがない程に恐ろしく感じた。
おそらくこれが裏で見せる黄瀬の顔なのだろう。
黄瀬は裏社会で生きる人間だ。
テツヤにとっては心臓が止まってしまいそうなほど恐ろしいものだが、黄瀬にとっては日常的に見せる表情の1つなのかもしれない。
以前にテツヤは特別扱いだと嘯いていたことがあったが、テツヤはそれが決して誇張ではないのだということをようやく理解した。
琥珀色の瞳がテツヤを射抜く。
逃げることも犯行することもできず、テツヤはゆっくりと視線を鏡へと向けた。
広いベッドの真ん中で、両手両足を拘束されたテツヤが黄瀬に尻を付き出すような形で寝そべっている。
その口には赤いボールギャグ。
どこから見ても倒錯的なその姿に、テツヤは絶望からくらりと眩暈を感じた。
そんなテツヤの首に黄瀬が何かを撒きつけた。どうやら首輪のようだとわかったのは、剥き出しの肌に触れる感触と、首から繋がっている太い鎖のせいである。
鏡を見ればやはりそれは黄色い首輪で、体勢も相まってまるで犬のようだった。
実際テツヤは黄瀬にとって愛玩動物のようなものなのだろう。
機嫌が良ければ可愛がり甘やかし、たっぷりと愛情を与えてもらえる。
その反面、飼い主の機嫌を損ねればきついお仕置きをされる――――今のように。
『愛玩』動物という認識は決して間違っていない。
クローゼットに入っていった黄瀬が何かを手に戻ってくる。
生憎何を持っているかわからないが、どうせまともなものではないだろう。見ない方が精神衛生上良い。
何しろこの状況では嫌な予感しか生まれないのだ。
知識がなさすぎて何をされるか分からず恐怖しかない。
今まで黄瀬から受けた行為ですらテツヤにとってはつらいことだというのに、黄瀬の様子から考えても今まで以上に酷い目に遭わせられるのは間違いない。
じわりと涙が浮かんでくるが、黄瀬の目に憐憫の情はない。仄暗い光が浮かんでいるだけだ。
「…っ! ンゥ……っ!」
「やっぱり、躾って肝心だよね」
「……っ?!」
黄瀬の大きな手がテツヤの尻を掴んだ。握りつぶされるのではないかという力に痛みで顔が歪んだが、すぐにその手は離れていき、代わりにテツヤの慎ましやかな蕾に指を這わされた。
縁をなぞるように触れたと思いきやいきなり2本の指を突き入れられテツヤの背が大きくしなる。
散々黄瀬のモノを受け入れているとはいえ、慣らしもせず濡らしもしない指を挿入されるのは衝撃が強すぎる。
痛みでくぐもった悲鳴を上げるテツヤには構わず、だが思うように奥まで入っていかないことに苛立ちを覚えたのか、いったん指を引き抜くとひやりとした何かをテツヤの蕾に押し込んだ。
たいして大きくないそれは先程の衝撃で多少緩んでいたせいもあり、するりと蕾の奥に飲み込まれていく。
2つ3つと押し込まれてから再び指が押し入ってきた。
内部を探るような動きは先程に比べて痛みはない。どうやら固形タイプの潤滑剤を挿れられたのだとわかったのは、蕾から溢れた液体が太腿を伝って流れてくるのを感じたからだ。
潤滑剤は以前にも何度か使われたことがあった。
チューブタイプのものやボトルに入っているようなものもあったし、座薬のように体内の熱で溶ける固形タイプのものがあるというのも経験上知っていた。
だが黄瀬は潤滑剤を多用すると直腸内の襞の動きを感じられなくなるからという理由であまり使われたことがなかったから、使われたことがあるのは黄瀬が切羽詰っていた時と屋外でそういう行為に及んだ時のほんの数回だけだ。
やがて聞こえてくるクチュクチュとした卑猥な音にテツヤの頬が羞恥に染まる。
このまま解され、そして黄瀬の怒張を受け入れさせられるのだろうと思ったテツヤの予想は、悪い意味で覆された。
前立腺を掠めるように抜き差しを繰り返され、入口を拡げるようにナカで指を動かされ、そうして後ろからの刺激だけでテツヤが限界を感じるようになった頃、黄瀬は始めた時と同じく唐突に指を引き抜いたのだ。
そしてすっかり立ち上がったテツヤの分身に何かを嵌めた。
「―――?!」
途端に感じる圧迫感と痛みにテツヤが慌てて背後を仰ぎ、情事を行っているとは到底思えない冷ややかな視線の黄瀬に息が止まる。
「俺さぁ、ビッチって嫌いなんだよね」
「――――――?」
「あんたはさ、俺の愛玩物だろう。なのに他の男にちょっと褒められたくれいでへらへら笑って甘えた声出してさ。何なの? ご主人様の前で他の男に媚を売るとか、俺のこと馬鹿にしてんの?」
「――っ、……っ! ……っ」
反論しようにも口を塞がれていて声にならない。
だが否定だけでもしておかなければと必死で訴えるが、そもそも黄瀬はテツヤに答えを期待してはいないということにテツヤは気が付かない。
テツヤの頬を優しく撫でる姿にわかってもらえたのかと安堵するも、自分に向けられる視線が未だ凍りついたままだということに気が付いたテツヤの表情が強張る。
じわりと浮かんだ涙を黄瀬の指が優しく拭う。
「ちょっと今まで甘やかしすぎたかなぁと思ってさ。やっぱり一度きちんと躾しておかないと駄目だよね。誰がご主人様か、あんたの心と体にたぷりと教えてあげるよ」
そう言って黄瀬は嗤った。
◇◆◇ ◇◆◇
ヴヴヴ、と鈍い音が室内に響く。更にはぐちゅぐちゅという厭らしい水音。
そのたびに白い痩躯がベッドの上で跳ね上がる様を、黄瀬は椅子に座って眺めていた。
両手を縛められ足を固定され、黄瀬の目の前で犬のような体勢を強要されているテツヤの後孔には細いバイブが押し込まれている。
太さは黄瀬のものに比べれば大分細身だが、それでも狭い秘所に2本も挿れられれば圧迫感は半端ではない。
最初は1本だけだったのだが途中から反応が面白くないという理由で追加されたのだ。
その違和感と際限なく体内で蠢く恐怖に、先ほどからテツヤの目からは涙が溢れている。
機械的な動きは黄瀬が普段与える快楽に比べれば遥かに弱いが、その代わり体内で延々と同じ動きを繰り返してテツヤを苛む。
強い刺激というよりは緩い刺激をずっと受けてさせられている方が苦痛は大きい。
角度を調節して挿入されたため敏感な場所には触れないようになっているからテツヤにとっては物足りない刺激でしかなく、そのため達することができない。
そして仮に強い刺激を与えられてもテツヤの分身はリングで根元を押さえられているためどちらにしろ解放することは不可能だ。
体内で燻ぶり続けた熱はゆっくりと全身に回っているようで、テツヤは何度も懇願の眼差しを送るのだが、椅子に座ってテツヤの痴態を眺める黄瀬は全て黙殺した。
「っ、ん…ぅ、ンっ………っ」
「ほら、まだまだ反省が足りないよ。もっと喘いで啼いてヨガってみせてよ」
「――――ヒッ、ング……、っ…」
「何? 二本じゃ物足りないの? だけどこのサイズのものはこれしかないんだよね。極太バイブ、いってみる?」
「――――――っ!!」
黄瀬がベッドの上に置いてある新たな玩具を手に取ったのを見てテツヤが目を見開いて首を振る。
グロテスクな男根の形を模したそれは、明らかにテツヤの身体に適合するサイズではない。
そもそもテツヤにアブノーマルな趣味はないのだ。
目の前に散乱するいくつもの大人のおもちゃを前に怯えることしかできない。
用途も種類もサイズも豊富なそれは、寝室のクローゼットにあった。
大きな箱に収められたそれはどうやら昨日今日用意されたものではなさそうだ。
だが黄瀬は今まで一度もテツヤとのセックスでそれらを遣う素振りは見せなかった。
己の手で乱すのが楽しいのだと言っていたように、本来ならば決して使われることはなかったのだろう。
その証拠のように適当に選んだ玩具をテツヤに試してはいるものの、決して楽しそうではない。
むしろテツヤが反応するたびに機嫌は更に悪くなっているように見える。
自分が何か黄瀬の機嫌を損ねることをしてしまったのだろうとは理解したテツヤだったが、その原因まではわからない。
青峰とのバスケだろうか、彼と親しく話をしたことだろうか、それとも頬にキスをされたことだろうか。
部活仲間と抱き合っているのを黄瀬に見られたことがあったがそれに対して怒ったことはなかった。だから青峰と話していたくらいで怒ると思っていないテツヤは本気で黄瀬の逆鱗に触れた理由がわからないのだ。
だからこそ容易に謝ることはできず――――そもそも口を封じられているため声を出すことすら不可能だ――――黄瀬のされるがままでいたのだが、このままでは一体解放されるのはいつになるのだろうか。
そう簡単に許されるとは思っていないが、それでもせめてこの無機質な玩具による責め苦からだけでも解放されたいと思うのは無理ないだろう。
熱を伴わない質量によって無理やり快楽を得るという手法は、テツヤにとって到底耐えられるものではないのだ。
そんなテツヤの心情を理解したのかどうかは不明だが、ようやく椅子から立ち上がった黄瀬は緩慢な仕草でテツヤの体内で蠢いていたバイブを引き抜いた。
「どうやらバイブは嫌いみたいだから、こっちに替えてあげるよ」
そう言って手にしたものをテツヤの眼前に翳す。
随分と歪な形状をしている。状況から考えてテツヤの後孔に挿入するものだろうとは思うが、これが何だか分からないテツヤは怯えを隠そうともせずに黄瀬を見上げた。
涙に濡れた頬を黄瀬の指がゆっくりと撫でる。
「これはね、エネマグラって言う、男のために開発された玩具って言えばわかるかな? このカーブが前立腺に当たってすっごい気持ち良いらしいっスよ。これに嵌って手放せなくなったゲイも多いんだって。淫乱な黒子っちにはぴったりだと思わないっスか?」
「―――――!!!」
いやいやと首を振るものの黄瀬は躊躇なくそれをすっかり緩んだ蕾へと押し込んだ。
複雑なカーブを描いたそれはテツヤの内部を不可思議に抉りながら奥へと進んでいく。
根元まですっぽりと咥え込ませた黄瀬は無慈悲な表情でスイッチを入れる。
瞬間、テツヤの背に電流が走った。
「ンン―――――――っ!!!!」
「おぉ、凄い反応」
先程のバイブとは違い、体内を抉るような動きはしない。
だがしっかりと前立腺に触れている箇所が小刻みに振動を繰り返し、的確に刺激を与えてくる。
指で軽く触れるだけでも我慢できない敏感な箇所に直に触れ、脳内が焼き切れんばかりの振動が直撃する。緩い振動で一定のリズムを繰り返していた先程のバイブとは比べものにならない強い刺激を受けるたびに、テツヤの身体が跳ね上がる。
両足の拘束だけでなく手も依然として背後で拘束されたまま。
できることと言えば身体をくねらせて快感から逃げようとするか、空を掴むように拳を握りしめるかしかできないテツヤは、正に黄瀬の思うがままに乱されている。
どれほど動こうと深く挿し込まれた玩具が外れることはなく、更には形状的に抜けにくいものらしくテツヤの内部から出ていく様子はない。
「あ、あぁっ、やああああぁぁ!!」
暴れたせいで留め具が緩んだのか、テツヤの口を塞いでいたボールギャグが外れた。
声が嗄れるのも構わずに悲鳴を上げるが、そんなことで逃がせる刺激でないのは自分が良くわかっている。
射精をしたくても根元を押さえられているせいでそれもできず、体内にはドロドロとした熱が渦を巻いてテツヤを苛んでいく。
暴力にも似た快感は黄瀬に初めて抱かれた時のようだが、それが機会に与えられているということが一層恐怖を掻き立てた。
「や、やだっ、黄瀬さ、ん、もぅ……やめ……っ」
「あぁ、やっぱりこっちの方が全然悦さそうだね。黒子っち美味しそうに咥え込んでるし。ほら、こっちもこんなに蜜を零して喜んで」
「やあぁっ、触らないでぇ!」
硬く張りつめた分身をピン、と指で弾かれてテツヤが啼き叫ぶ。
普段ならそれだけで介抱してしまうが、堰き止められたそこは黄瀬の悪戯に強い反応を示すものの解放はできない。
積もり積もった熱が体内で爆発してしまうのではないかという恐怖に涙がボロボロと零れてくる。
「イきたい? ねぇ、思い切り出したい?」
「はっ、出し、たいです……、やだ、も…ぅ、怖いっ」
黄瀬の問いかけにテツヤは身も世もなく頷いた。
プライドなんて既にない。ただ、ひたすら解放されたかった。
そんなテツヤに黄瀬はにこりと笑う。
「じゃあイっていいよ」
「………え? だ、って……」
「このままイっていいって言ってんの」
「あっ、ん……、でも……」
「空イキって言うんだって。射精しなくてもちゃんとイけるから大丈夫」
「や、わからっ、な……」
「だから、そのまま感じていればいいんだよ」
黄瀬の言っていることの意味がわからない。
男の快感は射精すれば終わりだ。なのにどうやって。
だが、疑問を口にする余裕はテツヤにはなかった。
激しい刺激に足は震え、身悶えするせいで腰も厭らしく動くのを止められない。
無意識に分身をシーツに擦り付ければ更なる快感となってテツヤを苦しめる。
最早痛いのか気持ち良いのかすらもわからなくなった身体は、全身が性感帯のようになってしまったようで、戯れに頬を撫でる黄瀬の指の動きすらテツヤを煽る導火線の1つとなってしまっている。
ぞくり、と身体の内側で何かが蠢いた。
「あっ、やだ何……? や、ぁっ」
許容量を超えた器が破裂するかのように、限界は突然訪れた。
体内をかけめぐっていた熱が一点に集約する。
「ひっ、ああぁぁぁ!!!」
身体の中心を雷で撃ち抜かれたような衝撃がテツヤを襲った。
全身が蕩けてしまう程の快感と、死んでしまうのではないかという恐怖にテツヤの頭が真っ白になる。
ガクガクと身体を揺らし恍惚の表情を浮かべるテツヤに、黄瀬が満足そうに笑った。
「ほら、イけた」
はあはあと荒い息を吐くテツヤに、黄瀬は良くできましたと告げて口づけを贈る。
快楽に蕩けているというよりは放心しているといった様子のテツヤは、だが射精をしていないため本格的な解放はされていない。
きつく縛められたままのそこは今にもはちきれんばかりに張りつめていて、限界が近いのだと如実に主張している。
だが、黄瀬はまだ解放させるつもりはない。
ようやくドライオーガズムを覚えさせたのだ。もうしばらく愉しんでからでも良いだろう。
ちゅ、と口の端にキスを落としてテツヤの正気を呼び戻し、その後深く口づけて嬲るように腔内を蹂躙する。
テツヤはキスにも弱い。普段でも黄瀬のキスだけで達してしまうこともあるから、ドライオーガズムに達したままのテツヤにとってはつらいだろう。
じわりと浮かんだ涙は快楽か苦痛か。最早どれもテツヤを煽るだけのものと成り果てている。
口を封じられたまま、テツヤが再度絶頂を迎えた。
それもそのはず、テツヤの後孔に埋められた玩具は依然として々振動を繰り返しているのだ。
前立腺直撃のそれはテツヤを無限の快楽地獄へ突き落してくれる代物である。
市販されているものに改良を加えた試作品で、それがどのくらい強力なのか正確なことは黄瀬は知らない。
製作者が言うには「初心者だと発狂するレベル」とのことだが、幸い振動は弱に設定してあるためそこまでは至らないだろう。
それでもテツヤにとって耐え難い快楽であることは間違いないのだが。
ただでさえ敏感なテツヤだ。ドライオーガズムにより更に過敏になった身体にはきついとわかっているが、ひたすらに耐えているテツヤの姿は思いもよらぬ嗜虐心を刺激してくれるのでもう少し見ていたい。
「ふふ、黒子っち、かーわいい。涙でぐしゃぐしゃだね。上のお口も下のお口もドロッドロ。エロくて卑猥で、もう最高」
「やだ…ぁ…、もう、イきたくないぃ……やああぁぁぁ!!」
「はい5回目。このまま朝まで頑張ってみようか?」
「やっ、やだやだっ。もう許してください!!」
「許すって、何を?」
「それは……っ、ああぁあぁぁぁぁ!!」
「6回目。んー、そろそろ限界かな? 俺が楽しめなくなっちゃう」
どこか残念そうにそう呟いて、黄瀬はテツヤのナカから玩具を引き抜いた。
体内を抉りながら抜けていくそれにテツヤが最早何度目になるかわからない絶頂に落とされた。
黄瀬曰く7回目らしいが、数えている余裕などテツヤにあるわけがない。
フルマラソンを走りきった時の方がまだ楽だろうと思うほどの疲労と虚脱感がテツヤを襲う。
ようやくこの無限の責め苦が終わるのだと思ったテツヤは安堵に息をついた。
だが、黄瀬が満足したかと聞かれれば答えは否で、それに気づいたのは散々蹂躙され赤く充血した蕾に熱い何かが押しつけられた時だった。
慌てて背後を振り返れば、獰猛な獣が舌舐めずりをしてテツヤの腰を掴んでいた。
「今度は俺の番」
「や……っ、お願い、ですから……」
テツヤは怯えたままフルフルと頭を振る。
これ以上続けられたら本気で死んでしまう。既に指一本動かすのもつらいのだ。
テツヤが懇願を口にするものの、黄瀬は聞かない。そもそも最初から黄瀬はテツヤを骨の髄まで喰らい尽くすつもりなのだ。ここで終わると思われては困る。
ぐい、とバイブとは比べものにならない質量を持つそれがテツヤの後孔に押し入ってくる。
内部はドロドロに蕩けていたから挿入は簡単だった。
不規則に蠢くそこは黄瀬の怒張を美味しそうに呑み込んだ。本人が限界だと言っても身体は更なる快楽を望んで黄瀬を歓迎しているのだ。
「あぁっ、や、ぁっ、ひぃっ」
「うわ、凄い締め付け。あれだけ咥え込んだのにまだ足りないんだ」
「ちがっ、やあ、駄目ぇ……っ」
緩く抽挿すればテツヤの背がのけぞる。あと一突きで絶頂に落ちることが分かったのでテツヤの分身を縛めていたリングを緩めてガツンと奥を突きあげれば、悲鳴と共に蓄積された白濁が勢い良く弾け飛んでテツヤの頬を汚した。
「ふふ、セルフ顔射って初めて見た。やーらしい」
「ひぅっ、あ、やぁっ」
「ほら、全然止まらないよ。どれだけ溜め込んでたんだか」
「や、やらっ、触ら……ないで、も……っ、駄目ぇっ」
栓が壊れた蛇口のように白濁を溢れさせるテツヤの分身を扱きながら、黄瀬は律動を再開する。
「や、ぁ……もう、無理、無理ぃ」
「あんたの限界は聞いてねーから」
わざと淫猥な音を立てて奥を抉り前立腺を擦り、横暴とも言える蹂躙を繰り返した。
そのたびにテツヤは咽び泣き、懇願した。だが限界を超えても許してもらえず、気絶をしても頬を叩いて起こされる。
顔も体もぐちゃぐちゃになったままテツヤは延々と黄瀬に犯され続け、そうして黄瀬が何も吐き出すものがなくなった頃になってようやく解放された。
痙攣を繰り返し虚ろな視線を彷徨わせるテツヤは、まるで壊れてしまった人形のようだ。
流石にやり過ぎたと思いつつも、壊れてしまってもそれはそれで楽しめるから構わないだろうという結論にいたり、ニヤリと口の端を持ち上げた。
テツヤが壊れてしまえば一生自分の傍から離れていかないだろうし、他の男の目に触れるようなこともなくなる。
学校に行く必要すらなるのだから、この身体は全部黄瀬のものになるのだ。
仮に壊れていなくてもテツヤの所有権はまだ黄瀬にある。数日後にまたその身体と無垢な心を貪るだけだ。
「あんたが悪いんだよ」
ぐったりと意識のない身体を抱き上げる。
二人分の精に濡れた身体は細く小さく、黄瀬の腕に簡単に閉じ込められる。
「あんたが青峰っちに笑ったりするから」
無邪気な子供の笑顔。安心しきったそれは黄瀬には一度も見せたことのないものだ。
学校の友人に見せるような年相応の姿。
それを友人に向けるのは全く気にならなかった。
たまたま足を運んだ大会で勝利に喜ぶテツヤがチームメイトと抱き合っていても微笑ましいと思いこそすれ嫉妬なんて感じなかったというのに。
相手が青峰だからだろうか。自分が認めた数少ない人物。その筆頭である青峰がテツヤに目を付けた。
そう思った途端、己の中に燻っていた昏い感情が爆発してしまった。
正直やり過ぎたと思う。だが、反省はしていない。
何故なら、黒子テツヤは黄瀬涼太の所有物なのだから。
「とりあえず、風呂っスかね」
おそらく数日はまともに動けないだろう少年が自力で入浴するのは不可能だと判断して、黄瀬はテツヤを抱き上げてバスルームへと向かった。
- 14.01.17