Sub menu


目撃者黒子が口止めと称してあれこれされる話4


学校と家の往復しかなかったテツヤの日常に、週に二度だが新たな予定が加わった。
それはテツヤにとって決して歓迎できるものではない。
できるなら放棄してしまいたいほどに苦痛なのだが、それをしたらテツヤの人生がどうなってしまうかわからないため守らざるを得ないのが現状である。

練習が早く終わる週半ばと週末、テツヤは黄瀬に抱かれるために彼が用意したマンションへ向かう。
当然ながら望んでのことではない。拒否権がないため従うしかないだけだ。
その手には一枚のカードキー。
見るからに高級そうなカードキーだが、それもそのはず。
昨年完成したばかりの富裕層向けのマンションの鍵なのだ。
テツヤを呼び出す時、最初こそホテルを利用していた黄瀬だったが予約をするのが面倒になったのか、それとも未成年と一緒にホテルを利用することに何か感じたのか、三回目にはホテルではなく都内にあるマンションに連れ込まれ、ホテル以上に防音設備の整った部屋でテツヤはいつも以上に激しく犯された。
翌日は休日だから動けなくて良いだろうという判断だったのだろうが、散々喘がされて啼かされたテツヤの声は見事に枯れ、更には半日は酷使され続けた腰はすっかり抜けてしまい土日はベッドから一歩も出られない生活を余儀なくされてしまった。勿論自宅には無断外泊及び連泊の報告をさせられたのは言うまでもない。
いつもはホテルを使うためにチェックアウトのことを考えて無体を強いらなかったのだと気づいたのは、帰る時に使うようにとカードキーを渡された黄瀬の笑顔を見た時だ。
どうやら黄瀬はテツヤが思っていた以上に絶倫だったようで、週半ばの逢瀬ではテツヤの体調や部活への支障などを考えて回数を制限しているため、その埋め合わせのように週末の逢瀬が激しくなったようだった。
だったら他の女性を探せば良いのにと思うのだが、それを言ったところで聞き入れてくれる黄瀬ではない。
今日は週末。大会が近いわけではないため土日の練習も休みということは、おそらくテツヤの休日はマンションの中で終了してしまうのだろう。

最新鋭の設備が整ったマンションは週末だけ暮らすには十分すぎる豪華なもので、初日に比べて生活用品が増えているのは、必要に応じて黄瀬が揃えてくれたからだ。
元々生活感のなかったマンションであるため黄瀬やテツヤの私物はほぼないに等しいが、それでも週末寝泊りする程度のテツヤの私服などは用意されている。気が付いたら用意されていたのだ。
一度だけ行為に及ぶ際にテツヤの服を破いてしまったことがあったので、お詫びのつもりで買ってきてくれたのだろうと思われる。
翌日の着替えの心配をしないで済むので助かっているが、そもそもあの部屋を使う時のテツヤが服を着ていることの方が少ないことは考えない方が良いだろう。

駅から下りて歩いて五分。
最寄駅どころか周辺の駅からもすぐにそれと分かる高層マンションは、完成した当初からメディアがこぞって報道した最新鋭の設備とサービスを備えた『超』高級マンションである。
24時間常駐の警備員など当然。
床は大理石で共有のプールやスポーツジム、居住者のためのバーカウンターなどがあるマンションを一般的とは誰も言わないだろう。
他にもこれでもかと防犯カメラが設置されているし、どこかで聞いた噂では芸能人も多数住んでいるという話だ。
テツヤが住まう世界とは明らかに別次元だが、テツヤが不満を言うことは許されていない。
学校から数駅、それほど離れた距離にない目的地は高級住宅地ということもあって同じ学校の生徒に見つかる可能性は低い。
ついでに言えば部活仲間が住んでいる地域とは学校から真逆であるため、こちらも見つかる可能性は低いだろう。
だがやはり好んで向かう場所ではないため、周囲からは羨望の眼差しを向けられるマンションに足を踏み入れるテツヤの足取りは重いままだ。
誰が喜べるというのだろう。

テツヤはこれから男に抱かれるためにその場所へ赴くのだ。

しかも相手はテツヤを強姦した黄瀬涼太。喜べる要素などあるわけがない。
五百万で己がレイプされている映像を買えと言われて一般人であるテツヤが支払えるわけがなく、それすら見越して提示されたであろう条件は、やはりテツヤにとって屈辱と恐怖しか生み出さないものだった。
だがその時のテツヤには首を縦に振る以外の選択肢は残されていなかったのだ。
混乱と恐怖で正常な思考を失っている時に出された提案に、異を唱えるだけの胆力と判断力はテツヤにはない。
何しろ相手は百戦錬磨の裏稼業の男で、テツヤは唯の平凡な男子高校生。
最初から互角の対話が出来るはずもなく、黄瀬の言うままにテツヤは誓約書にサインをさせられた。
期限は黄瀬が飽きるまで。もしくは五百万を一括で返済できた時。
黄瀬は自分は飽きっぽいからひと月かふた月で飽きると言ってはいるものの、残念ながら既に3か月が経過しているのに彼がテツヤに飽きる要素は少しも見られない。
いっそのこと一晩いくらと金額を決めてしまえば良かったのだが、あの時のテツヤはそんなことまで考えられる精神状態ではなかったため、今更何を言ったところであとの祭りである。
高校生のバイトで稼げる額などたかが知れているし、そもそも部活動に励むテツヤにはバイトに費やす時間はない。そのため提示された金額を用意するのは不可能だ。
一時は本気で部活を止めることも考えたが、そんなテツヤの思考すら読んだかのように黄瀬が新たに提示した条件は、『最低週に一回、もしくは週に二回の呼び出しには応じること。それ以外は部活を優先しても良い』というものだった。
そうやって黄瀬はどこまでも周到にテツヤの逃げ道を塞いでいくのだ。
テツヤには己の意志で決断したように見せかけておきながら、全て男の掌の上で転がされているのだということは明白。
悔しいとは思うけれど、大人しく従っていれば黄瀬は紳士だったためにテツヤの中で逆らうという選択肢は排除された。


――――そう、黄瀬はテツヤが言いつけを破らない限り、この上なく優しく甘い紳士なのだ。


だからこそテツヤは、その笑顔の仮面が外された時が恐ろしい。
だって相手は裏社会に生きる男だ。人間の命を奪っておいて顔色一つ変えないような男なのだ。
今はお気に入りの玩具が手に入ったから機嫌が良いのだろうが、その玩具が所有者に逆らうようなことがあったら彼は一体どうするだろうか。想像するだけで恐ろしい。

暗鬱とした気持ちを抱えながら、テツヤは重い足取りを前へと進ませる。
広いエントランスに足を踏み入れた瞬間から、『黒子テツヤ』の所有権はテツヤから男へと移行する。
テツヤはゆっくりと瞬きをして、己の感情を心の奥へと閉じ込めた。










   ◇◆◇   ◇◆◇










部屋に入るなり行為に及ぶのはいつものことだ。
今日もいつものようにテツヤが鍵を開けて中に入れば、待っていたかのように黄瀬に腕を引かれて寝室へと連れ込まれた。



「ん、ふぅ…っ……んむっ」
「ほらほら、もっとしっかり舌使わないと、俺全然気持ち良くなれないっスよ」
「ん…………っ」
「そう、ちゃんと出来るじゃないっスか。その調子」



寝室ですることと言えば二つしかない。寝るか抱かれるか、どちらかだ。
時計は夕方の6時を示している。寝るには早い時間だからすることは決まっている。
服を剥かれ裸にされ、テツヤは先程から口淫による奉仕を強要されていた。
ただでさえ平均以上の大きさを誇る黄瀬の怒張は、テツヤの小さな口には入りきらない。
どうにかこうにか口に含むのが精いっぱいで、それ以上の技術を望まれても正直テツヤには難しい。
とはいえ黄瀬を満足させなければテツヤが解放されることはないので、必死に舌を動かし顔を上下させて黄瀬の怒張に快感をもたらすように頑張る。
喉の奥に届くほど大きなそれに時折嘔吐感を感じながらも、それでも動きを止めれば黄瀬の機嫌が悪くなるために止めることはできない。
どういうことか黄瀬はテツヤに口で奉仕させるのが好きだ。
決して上手とは言えない拙い行為だというのに、会えば毎回この口淫を要求される。
黄瀬がテツヤにやるようにすれば良いのだと分かっているが、そもそもサイズの違いから物理的に不可能なこともあるし、何よりも黄瀬に自分のモノを咥えられている時は半分以上意識が飛んでしまっているため、どのようにしてもらっているかなどテツヤにはわからない。
下手ながらも必死で奉仕する姿が健気で可愛いなどと黄瀬が思っているとは露程にも思わず、テツヤは不思議に思いながらもこの行為を続けているのだが、一向に上手くなる気配はない。
むしろ拙いままの方が他人の手が触れていない証拠であるため黄瀬は嬉しいので上手くなる必要などないのだということもテツヤは知らない。
口内で一度精を放った黄瀬は、テツヤの喉が上下するのを確認して良くできたと言わんばかりに口づけを落とす。
そのまま抱き上げてベッドに押し倒せば、顔を強張らせるテツヤに苦笑が浮かんだ。
手に入れてから三か月以上、週に二回とは言えかなりの回数を黄瀬に抱かれているというのに、テツヤは未だに処女のような反応を示す。
怖がらせないように殊更優しく抱いているつもりではあるが、やはり初日の恐怖が消えないのだろう。
あの時も痛くはしなかったつもりだが、そもそも童貞で処女だったテツヤに対して中々執拗に責めた自覚はあるので何とも言い訳しようがない。
とはいえ行為を始めてしまえばこちらのものである。
テツヤが感じる箇所は本人以上に把握済なのだ。
恐怖に震える身体が快楽に溶けていく姿を見るのは何度見ても愉しいもので、性欲があるとは思えないほど淡白な顔が赤く染まり淫らに腰が揺れる様は何とも言えず支配欲が満たされていく。

「や、ぁ……ん、そこ…」
「うん、わかってる。ここが良いんだよね。特にココをこうされると」
「っ! あぁっ、やあぁぁっ!!」
「あっさりイっちゃうんだよね」

性能の良い楽器のように自分が思った音を奏でるテツヤに、黄瀬は更なる快楽を与えるべく侵入させていた指を抜いた。
その際にきゅうきゅうと締めつけてくるナカの具合は相変わらず最高に良さそうで、ひくひくと物足りなさそうに伸縮を繰り返す蕾に黄瀬は己の怒張を押し当てた。
指とは比べものにならないほど太い怒張を、慣れたテツヤの蕾はあっさりと呑み込んだ。
最初こそあまりの質量と違和感と衝撃に暴れて抵抗したテツヤだったが、今では歓迎するように自ら咥え込んでくるまで淫らに成長した。
ローションの助けもあって最奥まで届いた黄瀬の怒張のせいでテツヤの薄い腹は心なしか膨れたように見えるが、それを探るように腹部へ手を這わせればテツヤの眉が切なそうに顰められた。
動いてほしいと視線で訴えてくる様子がいじらしい。

「わかる? 黒子っちのココに俺のが全部入ってるんだよ」
「ぜ、んぶ……?」
「そう。上のお口で咥え込めなかったのに、下のお口は美味しそうに俺を根本まで呑み込んでるんだよ。ほら、凄くひくひくしててやらしいね」
「やぁ……っ」

黄瀬の言葉にテツヤは耐えられないと首を振るが、態度とは裏腹に黄瀬の怒張を呑み込んでいる箇所は収縮を繰り返して黄瀬へと快感をもたらしてくれている。
女のものとは比べものにならないほどきつくて熱くて気持ち良い。
これで数か月前は処女だったというのだから、黄瀬の調教の腕も中々のものである。

「どうして欲しい? このままがいい? それとも、動いてほしい?」
「……………っ」
「ほら、言ってくれないとわからないっスよ」
「…………て」
「何? もっと大きな声で言ってくれないと」
「う、ごい……て……ください」
「こんな感じに?」
「うぁっ、やあっ」

最奥を抉るように腰を打ちつければテツヤの背が跳ね上がった。

「それとも、こっちかな?」
「ああっ、やあ、そこは……あぁぁぁぁっ」

ゆっくりと引き抜いて前立腺を掠めるように抜き差しを繰り返せば耐えられないと言わんばかりにテツヤが啼き叫んだ。
声だけ聞けば苛めているようにも見えるが、テツヤの眦はとろんと蕩けており決して嫌がっているようには見えない。
何よりも黄瀬を受け入れている箇所は正直だ。
もっととねだるように揺れる腰を抑えて、黄瀬は幾度も最奥を抉る。
テツヤの甘い嬌声をBGMに極上の身体を堪能した黄瀬は、幾度もテツヤのナカへ己の欲望を注ぎ込んだ。
黄瀬から与えられる強すぎる快感に意識の飛んだテツヤは、黄瀬の言うままに淫らな言葉を口にし、望むままにあられもない体位を披露して黄瀬の怒張を受け入れた。
そうして一通り満足した頃には、テツヤはぐったりとベッドに沈んでしまっていた。
週末の行為が激しくなるのはいつものことで、限界まで上り詰めたテツヤが寝落ちしてしまうのもいつものことだ。
だが今日はいつもより手加減をしたから、意識を失ってしまったけれど明日一日使い物にならないという事態にはならないはずと黄瀬は推察する。
今回は三連休。テツヤには友人宅で泊まると連絡させてあるため、残りの二日間も思う存分テツヤを貪るつもりなのだ。
いつものように足腰立たないまでは責めていないはず。

それにしても、と黄瀬は思う。
肛姦は一度味わえば病みつきになると言われているが、まさにその通りだ。
勿論相手にもよるのだが。
実は、黄瀬は肛姦はテツヤが初めてではない。
以前にも好奇心で男を抱いたことがあったのだが、生憎その時は今のように強い快感は感じなかった。
成程こういうプレイもあるんだなと思った程度で、その後も男を抱こうとか肛姦を行いたいとか思ったことはなかった。
だがテツヤを抱いて初めて、この言葉は嘘ではないのだということを実感した。
普通のセックスよりも遥かに気持ちが良いのだ。
これは病みつきになっても無理はない。
とはいえテツヤ限定であることは、黄瀬の中で疑いようのない事実だが。
しっとりと絡みついてくるナカは淫靡な動きで黄瀬を翻弄し、逃がさないと締め付ける具合の良さと言ったら言葉にできないほどで、油断すればすぐにでも持っていかれそうなほどの名器なのだ。
おそらく身体の相性が良いのだろう。
その証拠のように初めてにも関わらずテツヤは何度も黄瀬によって絶頂を味わっていたし、前立腺も奥も黄瀬が突き上げればテツヤはあられもない声を上げて乱れている。
仕込めばドライでイくことも不可能ではないだろうが、そうするとテツヤの体力の消耗が激しいため今のところ我慢している。
悪い大人に騙されてその身を買われた哀れな高校生のたった一つの楽しみである部活動を奪うのは流石に可哀相だからだ。
その分週末はじっくりねっとりと焦らすようにテツヤを味わうのは仕方ないことだと諦めてもらうしかない。
部活動には支障のない範囲で留めておいているのだから黄瀬としては相当譲歩していると思う。
本来なら抱き潰す勢いで毎晩テツヤを組み敷きたいところなのだ。
飽きっぽい自分にしては信じられないほどの執着を抱いている自覚はある。
どのような良い女であろうともふた月保たなかった関係が、テツヤとは三ヶ月経った今でも気持ちが衰える様子が見られない。
それどころかどんどん執着が強くなるようで戸惑っているくらいだ。
一回りも年の離れた子供、しかも男の子。
顔立ちは整ってはいるけれど美形というほどではなく、幼さの残る顔立ちはどちらかと言えば黄瀬の好みからは離れているのだが、どうにもこの顔が可愛くて仕方ない。
啼いている姿も良いし快楽に蕩けている顔も良い。
だから笑っている顔も見てみたいと思うのだが、残念ながらその表情だけは黄瀬は一度も見たことはない。
元々表情の乏しい子供だが、黄瀬を見る目には常に恐怖が浮かんでいて、そこに信頼や情と言ったものは存在しない。
無理もない。テツヤにとって黄瀬は人殺しであり強姦者であり脅迫者なのだから。
一緒にいるのに四六時中怯えた顔をされているのはあまり嬉しくない。尤もセックスの時だけは怯えられていないのだけれど。
どうするべきか、黄瀬は考える。
子供の相手は得意ではない。だがテツヤは高校生で、そこまで子供ではない。
さて、どうしようと思った黄瀬の目に飛び込んできたのは、『誠凛高校バスケットボール部』と書かれたスポーツバッグ。
あまりにも細すぎる体格であるため時々忘れそうになるが、そういえばテツヤはバスケット選手だった。それもレギュラー。

「そっか。この手があったっスね」

自分のせいで確実に練習時間が減っているだろうテツヤを手懐けるのに良い方法を思いついた黄瀬は、我ながら名案を思いついたと言わんばかりににやりと笑うと、昏々と眠るテツヤの耳元に唇を近づけた。


「待っててね、黒子っち。身も心も俺だけのものにしてあげるから」


  • 14.01.14