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目撃者黒子が口止めと称してあれこれされる話2


永遠にも感じた地獄の責め苦は、黄瀬が満足する頃になってようやく解放された。
体内に三度、そして口内で一度黄瀬の欲望を受け止めたテツヤと言えば、息も絶え絶えという感じでベッドに沈んでいた。
嬲る、という言葉がまさにぴったりだと思われるような行為だった。
怯え泣きじゃくり、恐怖と苦痛と絶望に震えるテツヤに対して黄瀬は一切の容赦を見せず、鎖に繋がれたテツヤを思うさまに突き上げ揺さぶり、そうして気が済むまで貪った。

極上に甘い外見を持つ男の愛撫は流石というか手馴れていて、自慰すら未経験のテツヤにとっては恐怖以外の何物でもなかった。
的確にテツヤの快感を刺激する手練手管によって幾度となく絶頂へ追い立てられ、そうして精も根も尽き果てた頃になりようやく解放されると安堵した所で己の怒張をテツヤの秘孔へと捻じ込んだのだ。
散々弄られ解されたために抵抗はなかったが、終了だと思っていたテツヤの衝撃は大きかった。

そうして黄瀬の気が済むまで付き合わされたために情事を終えたテツヤに動く体力も気力も残らなかったのは当然だろう。
部活のしごきなど比べものにならない疲弊感は肉体的な疲労より精神的な疲労の方が大きい。
光を失った目であらぬ方向を見ている姿は壊れてしまったのだと思えるほどだ。
ピクリとも動かなくなった身体に最期の残滓を注ぎ込んで満足したのか、黄瀬はようやくテツヤの中から己の怒張を引き抜いた。
初めて散らされた無残な秘孔は黄瀬のモノが引き抜かれても閉じようとせず、そこから大量の白濁した液が流れ落ちて白い太腿を汚していた。
その様子を黄瀬は手にしたデジカメで余すところなく撮影する。
部屋には3台のカメラが設置されているが、至近距離の撮影もあった方が脅しになるというのが表向きの理由だったが、ここまでする必要は正直ない。
だが止める人物がいないため黄瀬はやりたい放題だ。

「気絶したかな? してないよね」

虚ろな視線を彷徨わせるテツヤの表情をも映像に残すべくカメラを向けると、茫洋としたままだった眦から涙が一滴零れた。
深い絶望というのを表現すればこういう顔になるのだろうという表情だったが、裏の世界に身を置いて長い年月が経つ黄瀬が憐憫の情を見せることはなかった。
それどころか無垢な少年が自分によって堕とされた証拠のように感じて口角を持ち上げた。

「かーわいいなぁ」

くったりとしたテツヤを抱き起してその唇を味わう。
小さな唇は触れると不思議と甘くて癖になりそうだ。
ペロリと舐めて唇の感触を楽しむと深く口づけて口腔内を蹂躙する。
意識がはっきりしていないため反応がないのが若干面白くないが、それでも構わず小さな舌を絡めて甘噛みして、気が済むまでテツヤを貪った。
不思議なこともあるものだ、と黄瀬は心中で呟く。
口止めの材料とするなら口づけをする必要などなかった。
適当に部下の男に下げ渡して輪姦される姿を映像に残すだけでよかったのだ。
本来なら幹部である黄瀬が出るような問題でもない。
だけど黄瀬はこの少年を部下に犯させるつもりはなかった。
理由はわからない。
久しぶりに見る純粋そうな少年だったからかもしれないし、怯えた姿が何ともいえず可愛かったからかもしれない。
とにかく己の気が向くまま黄瀬はテツヤを犯し、そして満足した。

だから解放してあげようと思った。
脅しの材料は確保できた。
だが、たとえこの映像がなくてもこの少年は口外しないだろうと、何となくだが黄瀬には確信があった。
まぁ話したところで黄瀬や青峰に警察の手が回ってくるとも思えないし、そもそも警察がテツヤの話を信じるかと言われれば答えは否だ。
黄瀬が属する組織は裏社会だけでなく警察とも繋がりがあり、どのような事件が起ころうとも揉み消されるか証拠不十分で釈放される手はずになっている。
何と言っても証拠がないのだ。
唯一の証拠である遺体は、今頃部下の男たちによって綺麗に処理されていることだろう。
目撃者もいないし遺体もない。
端から事件として立件する材料などない。
少年には想像もつかないだろう、大人の世界というのは存外卑怯で汚いものなのだ。
巻き込まれてしまった己の不運を嘆いてもらうしかない。

このまま放置しておけば、いずれ正気に戻って勝手に家に帰るだろう。
最早この少年に構う必要はないはずだ。
だが黄瀬は残滓に汚れた細い身体を丁寧に拭いて服を着せると、自身が所有する車に乗せて自宅へと送り届けた。
住所は先ほど調べた生徒手帳に書いてあった。
時刻は深夜に近い時間だったが、自宅の明かりはついていなかった。
都内の一軒家、高校生の少年が1人暮らしということはないだろう。

「家の人は留守?」

車内で正気に返ったテツヤは黄瀬の声に大仰に震えながら頷いた。

「あ、あの……、りょこ、う…に……」
「そんなに怯えなくても、今日はもう何もしないよ。でもまぁ、お望みなら君の部屋でもう一回ヤってもいいけど」
「や………っ」
「冗談だよ。お兄さん、そんなに暇じゃないんだよね」

掴んだ腕から震えが伝わってきて黄瀬は苦笑する。
脅しにしてはやり過ぎたかと少々反省するが、それだけだ。
少年の反応がいちいち可愛いのが悪い。
手放す前にあと一度だけと黄瀬はテツヤの唇を貪って、そうして名残惜しそうにテツヤを解放した。

「わかってると思うけど、誰かに話したらさっき撮影した映像が渋谷のスクリーンで流れるからね」
「――――――――――――――っ、言いませんっ!!」
「……なら、いいよ。大人しくしていたらこっちからは接触しないから。じゃあね。『黒子テツヤ』くん」

ひらひらと手を振って黄瀬はアクセルを踏み込んだ。
遠ざかっていく景色の中、小柄な体が門の前にしゃがみ込んだのがミラー越しに見える。



―――刻み付けるのには成功、かな



黄瀬はクスリと笑った。










   ◇◆◇   ◇◆◇










「あー、ヤりたいっス」

オフィスの机に脚を投げ出し、黄瀬は天井を仰いでそう呟いた。
それに気づいたのは青峰である。
仕事上の問題というかお互いの気心が知れているというか、二人は一緒に仕事を行うことが多いため共にいる時間が長い。
今日も今日とて先日までの仕事である企業の買収を予定通りに締結させてオフィスへ戻ってきたばかりだ。
買収先が若干難色を示したために少しばかり手間取ったが、概ね計画に支障はない。
後は報告書を作成して上司である赤司へと提出すれば本日の仕事は終了である。
だが青峰も黄瀬も事務作業はあまり得意ではないため、先ほどからああでもないこうでもないと頭を悩ませている。
何しろ自分たちの上司は完璧主義と言えば良いのか求めるレベルが高いと言えば良いのか、とにかく口頭で報告すれば済むようなこともきちんとした報告書を提出させたがるのだ。
それが面倒なのだが上司に逆らうことはできないので、何とかパソコンの前で拙い文章を読めるレベルまで仕上げるべく悪戦苦闘している。
そうして慣れない頭を使っていると鬱屈が溜まるのは当然。
そして気が付いたらここ数日女性を抱いていないことを思い出した黄瀬が、それまでの沈黙を破って発したのが先ほどの一言である。
ちなみに青峰は早々に書類提出を諦めている。

「何だよ、欲求不満か。だったらさっさとヌいてこいよ。女なら呼べばいくらでも飛んでくるだろう」
「んー、それが今までの子だとその気にならないんスよね。あの大げさな喘ぎ声にも飽きたっつーか」
「お前、あのGカップに興味無くすって男として問題あるだろう」
「そうっスよねぇ」

ふぅ、とため息をついて天井を仰ぐ。
黄瀬は特定の恋人を作らない。
仕事に支障が出るというのが表向きの理由だが、本音は束縛されるのが嫌いだからだ。
黄瀬は万人受けする美形であるために多くの女性から人気がある。
裏社会の人間ということで一般の男性が持たない危険な香りというのも黄瀬を彩る魅力の一つなのだろう。
そのため多くの女性から声をかけられるが、黄瀬が彼女たちを相手にすることは滅多にない。
黙っていても簡単に足を開くような女は昔から好きではなかった。
それでも男として欲を発散させたい時はある。
そんな時のために確保していた女性がいるのだが、ここ最近彼女の元に通う気が起きないのだ。
赤司が宛がった数人から選んだ女性だ、見た目も極上だし閨でのテクニックも悪くはない。
だが男を悦ばせる術を心得ている彼女の欲に濡れた顔を思い浮かべるとどうしても気持ちが萎えてしまうのだ。

では誰ならば良いのかと言われれば、脳裏に浮かぶのは先日の少年。
黄瀬を受け入れて啼いていたあの痴態が忘れられない。
あの白い肌に所有の印を刻んだ時に感じた背徳感は何とも言えず心が躍った。
細い身体を腕に閉じ込めて後孔を己のモノで突き上げれば、苦痛の中にも甘く濡れた声が漏れて男の欲を刺激させた。
涙を流しながら黄瀬の衝動のまま揺さぶられていた姿は何度思い出しても飽きることがない。

正直に言ってしまえば、黄瀬はもう一度あの少年を抱きたいのだ。
他の女では代わりになれないほどに、『黒子テツヤ』ただ1人を求めている自分を黄瀬は自覚していた。


「俺ってもしかして結構やばいのかも」


男色の気はなかったはずなのだが、興味本位で手を出したから目覚めてしまったのだろうかと本気で心配になる。
黄瀬は青峰を見る。
自分よりも少しだけ背の高い彼は、男としては正に理想という体型をしている。
190センチを超える長身の上にある精悍な顔、広い肩幅とすっきりと締まった体躯に長い足。
腰に響く低い声もポイントは高いだろう。
黄瀬もそうだが青峰も女性に人気が高い。
勿論仕事仲間としては自分よりも遥かに優れた人物だということは百も承知だ。
そんな青峰に対して性的な興味を覚えるかと言われればそんなことはなく、むしろ青峰を抱くのも抱かれるのも絶対に無理だ。
他の同僚や部下でも同じだろう。
見目は良いのが揃っているが、だからといって欲を覚えるような人はいない。

やはりあの少年が特別なのだろうと黄瀬は判断する。

とは言っても彼に会いに行く用事もなければ誘う理由もない。
口止めをした以上干渉するのは得策ではないし、何よりも健全な高校生の集まる場所に自分が姿を見せるのは場違いではないだろうか。
さてどうしようと思ったその時、黄瀬は青峰が見ている映像に気が付いた。
観念して書類を作成しているかと思いきや、こっそりDVD鑑賞をしていたのだ。

「あーお峰っち、何観てんスか。とっとと仕事終わらせて飲みにいくんじゃなかったんスか?」
「いや、さっきPC弄ってたらデータ残ってんの見つけてさ。すげーな、これ」
「何なに……ってこれ、あの時のじゃないっスか」

青峰が関心したように見ているのは、先日黄瀬が作成した裏モノのDVDだ。
所謂無修正と呼ばれるものだが、表に販売する予定は一切ない。
まぁ、事情が変わればこのDVDが好事家の男たちの手に渡るのは確実で、下手をすれば裏サイトなどで晒し者になるだろうが。

「なぁ、こいつ本当に男…だよな。泣き顔がすげー色っぽいんだけど」
「まぁ、俺が啼かせてんスから当然っスよね」
「あー、あの時見学していれば良かった。予想以上の上玉じゃん」
「でしょ」
17インチのPC画面の中で喘いでいたのは、あの日のテツヤだった。
絶妙なアングルで黄瀬の顔だけを隠し、男に組み敷かれて乱れるテツヤは確かに女性にも劣らないほどの色気があった。
特に黄瀬のモノを口いっぱいに頬張りながら涙を流す様は、嗜虐性のある男なら垂涎ものだ。

『や、ぁ、んぅ……』

小さな秘孔に男の怒張を受け入れて揺さぶられている姿は、下半身が写っていなければ細身の女性にも見えるため、筋金入りの女好きである青峰が興奮するのも当然だ。
未経験の身体に持てる限りの愛撫を施して蕩けさせたのだから。
しっとりと掌に吸い付くような肌理の細かい肌。
肉付きの悪い、だが運動部所属らしく引き締まった細い足。
のけぞった喉元はびっくりするほど白く、漏れる声は甘く。
黄瀬を受け入れたナカはひくひくと蠢いて有り得ない程の快感を黄瀬に齎した。
それらを思い出せば身体が疼く。
あの極上の獲物が欲しいと、何かが囁いた。

約束をしたはずだ。
向こうが言いつけを守っていればこちらは何もしないと。

だが、それを守るという保証がどこにあるだろうか。
だって自分たちは裏の世界に生きる者で、世の中は弱肉強食なのだ。



弱い子ウサギが喰われるのは自然の摂理ではないか。






「――――ねぇ、青峰っち」
「あん?」
「このDVD、俺に売ってくれないっスか」
「…………はぁ?」

編集したデータがここにあるということは、既にDVDに焼き終えているということだろう。
完成品はおそらく地下の倉庫のどこかに保管されてあるはずだ。
基本的には保管しておくだけ、だがあの少年が誰かに喋ったり警察に通報した際には裏ルートを通じて売り捌くことになっている。
足が付きにくいように元データは消去してあるはずだから、残っているのはこのPCに残されているデータと編集したDVDだけだ。
つまり、PCのデータを削除しDVDを処分してしまえば、少年を束縛している呪縛は解けたも同然。
上司である赤司は一般人を巻き込むことを良しとしないから、おそらく彼に知られればそのDVDは処分される可能性が高い。
裏ルートで捌けば数百万の利益は見込めるだろうが、その程度は自分たちにとってはした金でしかないため惜しむこともないだろう。

だから、黄瀬はそのDVDが欲しかった。
こちらの事情を何一つ知らない少年は、おそらくいつそのデータを流出されるのかと怯えて過ごしていることだろう。
もしそのDVDが自分の手元にあったとすれば――――。





獲物は容易く己の手中に転がり落ちてくるはずだ。


  • 14.01.12