マネージャーの厚意に甘えてテツヤを連れたまま現場へと向かった。
だがそこで1つだけ問題が生じた。
一般人を同行することではない。可愛いテツヤ(黄瀬談)を業界関係者その他大勢に見せるのはやっぱりまずいのではないかということである。
今更とか言ってはいけない。
そして「じゃあ連れていかなければ良いんじゃない?」とも言ってはいけない。
何故ならそれらはテツヤが既に発言済であり、尚且つ「だってテツヤっちと一緒にいられる時間が減るなんてとんでもない」という黄瀬の言葉により瞬殺された言葉だからである。
この発言に矛盾が生じているのは今更なので気にしてもいけない。
もういっそ車で待っているからとっとと撮影を終わらせてきてほしいと思っていたテツヤだが、前述の通り黄瀬が了承するわけがなく、移動の車の中で笠松と散々揉めた挙句、「じゃあテツヤじゃないと分からないようにすればいいだろ」と笠松は更なる爆弾を投下してきた。
ちなみに車を運転しているのは笠松ではない。
説得は物理が主な手段である笠松にハンドルを握らせたら色々と怖いために黄瀬が却下したのだ。
主に前方不注意による自損事故とかスピード違反とか信号無視とかである。
そんな笠松の言葉に黄瀬の瞳が再び輝き、テツヤはいよいよ走行中の車を飛び降りてでも逃げるべきか本気で思案した。
勿論そのような運動神経がテツヤに備わっているわけがないので諦める以外の選択肢は存在しなかったが。
そうして向かったのはある建物だった。
慣れた様子で守衛のいる入口を通過し目的の階へとエレベーターのボタンを操作し、やってきたのは『Hair Make Up Studio』と書かれている扉の前。
その上にテツヤにとってそこそこ馴染み深い人物の名前を見つけてテツヤは頬をひきつらせた。
悪い予感というものは当たるためにできているのではないかというピンポイント攻撃だった。
「父さん…」
「ん? だってテツヤっちの素性がばれてもこまるじゃないっスか」
だったら大人しく留守番させておいてくれと言いたかったテツヤは決して間違っていない。
だが世の中は正論だけが全てではないのだ。何て不条理。
そのまま腕を引かれてオフィスの中へ入れば、そこにいたのは長身のとっても美麗な男性。
「玲央姉ー、久しぶりっス」
「あらまぁ、涼太くんじゃない。ここに来るなんて珍しいわね。――あら? あらあら、テッちゃんも一緒に連れてくるなんて本当に珍しいわ。相変わらず可愛いいわね」
「…ご無沙汰してます、実渕さん」
「やあね、玲央姉って呼んでっていつも言ってるでしょう」
デスクに向かって書類を作成していたらしい男性――実渕玲央は、やってきた知人以上友人未満の関係である黄瀬に向かって意外そうな声を上げ、そしてテツヤを見て表情を輝かせた。
実渕玲央は業界でも人気のヘアメイクである。
柔軟な物腰と繊細なセンスで多くの女性芸能人から指名を受ける売れっ子ヘアメイクである実渕は、黄瀬が初の写真集を出した時からの縁で一緒に仕事をすることが多い。
しかも高校時代からの既知であったためテツヤの亡くなった両親のことも知っているということで、テツヤともそれなりに親しい。
テツヤに若干の苦手意識があるのは、テツヤが忘れたい記憶のほとんどが彼の手によるものだからだ。
美しいものが好きで可愛いものが大好きな実渕は、当然のことながら黄瀬が連れてきた幼いテツヤを一目で気に入った。
「こんな可愛い子を飾り立てないのは神様に対する冒涜よ」
というテツヤにとってはわけのわからない理由を熱弁していた実渕によって、テツヤがゴスロリだったり天使だったり妖精だったりに変化させられたのは本気で忘れたい記憶である。
とは言え仕事では良い関係を築いているため無碍にもできない。
何よりも義父が喜ぶなら良いかなと一度引き受けてしまったせいで、「父さん、可愛いテツヤっち見てみたいっス」とか言われて断りきれないのが大問題だ。
だから来たくなかったのにと嘆くテツヤだが、もう今更である。
「悪いな、実渕。テツヤをちょっと変装させてくれないか」
「幸くんがそう言うのも珍しいわね。これからCM撮影でしょう。まさかテッちゃん連れていくつもりなの?」
「そのまさかだ。黄瀬が駄々こねやがったんで、仕方なしの折衷案ってやつさ」
「あらまぁ。でも、私としてはテッちゃんを着飾らせることができるのに拒否する理由はないわね」
「時間がないから手短に頼む」
「任せて。テッちゃんは髪型や服装で随分印象が変わるから、ぱっと見ただけでテッちゃんとわからないようにさせるのなんて簡単よ」
「20分で用意できるか」
「10分もあれば十分」
「任せた」
「了解」
あっという間に会話が終了し、テツヤは笑顔も美しい実渕の手によって髪型と服装を弄られた。
本人が言うように確かに10分程度で完了したそれは、ウィッグをつけレディスの服に着替えるという単純なものだった。
黄瀬のイメージカラーである黄色の小花模様のチュニックとショートパンツ。
細くても女性より筋肉質な足は黒いスパッツによって綺麗に隠され、長くて形の良い足だけが強調されている。
テツヤは母譲りの中性的な顔立ちをしているので背を覆うウィッグをつけてしまえば化粧をしなくても女の子にしか見えない。
仕上げとばかりに薄くパウダーをはたかれ唇にグロスをつければ、それだけで美少女の完成である。
元から長い睫やシミ一つない白い肌も重なり、誰が見ても少年だとは思えないだろう。
ちなみにこの変装はクラスメイトですら簡単に欺ける。
一見しただけで見抜けるのは、テツヤと付き合いの長いキセキくらいものもである。
黄瀬はテツヤなら100メートル先でも見分けられるので最初から数には入れていない。
ここまで来るとテツヤの中から『抵抗』という2文字は存在しなくなる。
そこそこ精神的疲労が溜まっている状態なのだが、当然のことながら喜んでいる大人達が気づいてくれるはずもなく、唯一気づいているであろう笠松はこの事態を引き起こした張本人であるため敢えて気づかないふりをしている。
休憩中にマジバのシェイクでも買ってきてやろうと思う程度だ。
大抵のことならシェイク1つで機嫌が直ると理解しているからの行動である。その行動は正しい。
そうして明らかに少女の恰好をしたテツヤを伴い黄瀬は撮影現場へと入った。
だがしかし、ここで問題が1つある。
本来はオフであるはずの黄瀬が仕事に駆り出された理由の1つは、スポンサー社長の娘が大ファンである黄瀬に会いたいが為に仕事を捩じ込んできたのだ。
念願叶ったその娘が撮影現場に来ていないはずはなく、そして『スポンサー会社社長の娘』という立場を利用して挨拶、もしくはメルアド交換、あわよくば一緒にお食事+その後もお付き合いという図式を夢見ている女性が、撮影現場で手ぐすねを引いて待っているのである。
そこにやってきた正体不明の美少女。
どうなるかと言えば、当然というかお約束通りの展開が待っていた。
スタジオに入るまでは車なので目撃者はなし。
後部座席で仲睦まじく話している姿は甘ったるいとしか形容できない空気だが、これには運転手も笠松も、そして今回の撮影のために同乗してきた実渕も慣れているのでどうということはない。
たとえ車の中でも手を繋いだままというのもいつものことだ。
繋ぎ方が恋人繋ぎだなんてことに驚いていた時期はない。何せ3歳の時から見慣れている。
そんな空気が日常的なのは車内にいる人物だけのことで、当然のことながら今回初めて会うスタッフや関係者は知らない。
まず、控室に案内するべくやってきた広告代理店のスタッフが、後部座席から正体不明の美少女――顔は良く見えなかったがあれは美少女だけが持つオーラだったと後に彼は語った――をお姫様よろしくエスコートしているキセリョを発見。
いつもの爽やかな笑顔で挨拶をする彼は相変わらず好感度抜群ではあったが、その左手は美少女の腰をしっかりホールドしている。
いつでもどこでも逃走経路を探しているテツヤを押さえるための行動だが、何も知らないスタッフから見れば可愛い恋人を一時でも離したくない男にしか見えなくても無理はないだろう。
そして立場的な問題で状況説明を求めることもできずに、スタッフはある意味眼福だけど胃に悪い2人を控室に案内した。
「え? これっていいの?」と思っても口に出せないのが下っ端の宿命である。
彼は不要な台詞を一切話さずに案内を終え、主役が到着したという事実のみを上司及び監督に報告した。
ここで彼が黄瀬の同行者について何も触れなかったことで、事態は更に混乱することになる。
撮影準備が整い、同じスタッフが黄瀬を迎えに行った。
控室の扉を開けた彼の視線に飛び込んできたのは、3人掛けのソファーに座る美少女と、美少女の膝を枕に寛いでいる黄瀬涼太。
伸ばされた黄瀬の右手は美少女の左頬に添えられており、黄瀬は少女に向けて蕩けんばかりの笑顔を向けていた。
演技で見せる笑顔の百倍増しの輝きを放っていたため、とんでもなく眩しかった。
きちんとノックしたのに全然憚ってくれない黄瀬に、彼の中で抱いていた『一見ちゃらいけどストイックなキセリョ』のイメージは一瞬で崩壊した。
だけどこんな美少女が恋人だったらそうなるよなと納得した自分がいるのは秘密である。
何が凄いって目の前で蜂蜜もびっくりな甘い空気を広げているというのに、マネージャーもヘアメイクも一切動じていないことである。
マネージャーはスケジュール確認を行っているらしく携帯片手に誰かと話しているし、ヘアメイクは眼福そうに2人を眺めながらひたすら携帯で写メを撮っている。
何このカオスと思った彼は間違っていないが、こんなものはまだ序の口だった。
「お待たせしました。準備が整いましたのでスタジオ入りお願いします」
その一言が、更なる混乱の幕開けとなった。
いくら何でも彼女は控室で待ってるんだよなと思った彼の読みは甘く、スタッフの言葉に頷いた黄瀬は膝枕から起き上がると当然のように彼女の手を取った。
一瞬だけ美少女が躊躇したようにも見えたが、美少女はそのまま黄瀬がエスコートするままに歩き出した。
「え? これっていいの?」と本日2度目の言葉が喉まで出かかったが、悲しいほどに下っ端な彼には黄瀬を止める権利などない。
仕方なくそのまま彼を誘導して撮影スタジオへと繋がる重い扉を開いた。
脳内をよぎるのは、スポンサー会社社長令嬢の姿。
キセリョのファンを自称している彼女も予定外の同行者だったが、到着してから一言も口を開いていない目の前の美少女と比べて騒々しいほどに元気だった姿が思い出される。
「キセリョに逢える」
「生キセリョ」
「『君、可愛いね。良かったらこの後一緒に食事でもどうっスか』なんて言われちゃったら………いやぁん☆」
などと脳内妄想垂れ流し状態だった彼女がこの光景を見たらとんでもないことが起こるのでは。
そう思った彼の予感は恐ろしい程に的中した。
「キセリョ、入ります」
そんな声がスタジオに響いた瞬間に立ち上がったのは、20代後半と思わしき女性。
親の愛情が偏った方向に注がれましたという典型のように全身ブランド品で身を包んだ彼女は、やってくる黄瀬を目に焼き付けるべく視線を向けたのだが、その隣に並んで歩く15〜16歳程の少女を見て凍りついた。
長い水色の髪をなびかせて歩く少女は、決して派手な服装をしているわけではない。
だというのに黄瀬の隣に並んでも見劣りしないほどの存在感があり、本来ならばいるはずがない人物だというのに黄瀬と同行していることに対して違和感を抱かなかった。
少女の右手は黄瀬の手がしっかりと握りしめている。
指と指を絡める恋人繋ぎは黄瀬の執着を示すようで、そして少女の歩幅に合わせてゆっくり歩く姿は何とも似合いの恋人同士の姿にしか見えない。
騒がしいはずのスタジオが、一瞬で水を打ったように静まり返った。
黄瀬涼太と言えば派手な外見に反して女性関係の噂がほとんど立たないことで有名な役者だ。
過去に彼と噂になった人物と言えば元同級生の一般人や共演者の女優の2人だけで、そのうち元同級生の一般人は単なる友人だということで一笑されて終わった。
共演者の女優とはそこそこの付き合いがあったようだが表沙汰になる前に破局したという噂があったらしく驚くほど異性の影が出てこない人物として有名だ。
彼とお近づきになりたいと思っている女性は業界内でもかなりの人数がいるのだが、それらの誘いを綺麗に躱していく様は正に流石としか言えないともっぱらの評判だったのだが、そのキセリョがまさかの素人(推定)女性同伴である。
しかも相手は一回り以上離れているであろう美少女。
『黄瀬テツヤ』個人だと特定されないためにと用意した手段ではあるが、傍から見ると『人気イケメン俳優である黄瀬涼太が正体不明の美少女を伴って撮影現場にやってきた』ようにしか見えないのも無理はない。
今まで特に浮いた噂のなかった黄瀬がまさかの公私混同である。
現場の人達が驚くのは当然だろう。
そんな混乱など気にならないのか、それとも気づいていないのか、黄瀬はスタッフに向けて見事な笑顔を浮かべた。
「おはようございます。さぁて、時間ももったいないし、さくさく撮影しちゃいましょう」
現場の空気を見事に凍りつかせた人物の台詞とはとても思えない。
だが黄瀬の言うことももっともなのでスタッフは準備を再開する。
黄瀬のマネージャーが当然のようにどこからか椅子を調達してきて、黄瀬が当然のようにそこに少女を座らせた。
慌てて別のスタッフが黄瀬用の椅子を用意するものの、黄瀬はそれを丁重に断って少女の隣に立っている。
撮影現場で動いているスタッフがいるからと、現場で黄瀬が椅子に座らないのは結構有名な話である。
特に今回はCMの撮影ということもあり長丁場になるような事態もないだろうということもあって、黄瀬は立ったままだ。
少女も申し訳なさそうに立ち上がろうとするが、それは黄瀬によって止められていた。
声は聞こえないが少女と同じ目線になるように片膝をつき、優しくあやすように少女の頬を撫でる姿は何とも言えず甘い。
これで恋人じゃないなら何なんだと誰もが思ったが、この場で言葉にするほどの命知らずはいない。
芸能人のプライバシーは口外禁止が絶対だし、他の人に教えるなんて勿体ないというのが隠さざる本音でもあった。
だがその中でも空気を読まない人間というのは存在するのだ。
誰って、業界の暗黙の了解なんて何も知らない一般人の女性である。
「ちょっと! 何よその子! 部外者は立ち入り禁止でしょう!!」
お前も部外者だと誰もが心の中で突っ込んだ台詞をさも正論だと言いたげな口調で批判したのは、やはりというか社長令嬢だった。
原型が留めないほどの濃いメイクを施した顔を真っ赤に染めてテツヤを指差している。
「何なのよ! キセリョにエスコートされてお姫様扱いなんて、常識ってもんを知らないんじゃないの!! 撮影の邪魔になるからとっとと追い出して!!」
今まさに現在進行形で撮影の邪魔をしている女性が自分のことを棚上げにしてそんなことを叫んだ。
その言葉に黄瀬の視線がすぅっと細められた。
眼の中に入れても痛くない愛息子を貶されたのだ、当然だろう。
だがこの状況を作り出したのは黄瀬であることを忘れてはいけない。
女性も悪いが黄瀬も悪い。どちらも「お前が言うな」状態である。
黄瀬の一瞬の変化にスタッフは気づいて顔色を青くさせた。
普段怒らない人ほど怒らせると怖いというのは世間の常識である。
況してや黄瀬は急に仕事の代役を命じられただでさえ多忙なスケジュールを調整させたと聞いている。
そのため黄瀬の要望を何でも聞くという条件で仕事を組み込んだのであり、その条件の1つに『同伴者を認める』という項目があったことを関係者は思い出していた。
つまり美少女の同伴はこちらも了承済のことであり、れっきとした関係者である。
むしろ社長令嬢の言葉を借りるなら、ここから摘まみ出されるのは社長令嬢ただ1人ということになる。
だがしかし、甘やかされて育ってきた社長令嬢にそんなことに気付く洞察力はない。
せっかくキセリョと親しくなれるチャンスをと、完全に妄想と現実の区別がつかなくなった社長令嬢はつかつかとテツヤの前に歩み寄り、きょとんと見上げているテツヤへと右手を振りかぶった。
殴られると思った手はテツヤに触れる直前に黄瀬によって止められた。
その表情は今までに見たことがない程厳しい。
黄瀬の顔立ちは非常に整っており、無表情になるとぞっとするほど人間離れして見えるため初めて見たスタッフは普段との違いに驚きを隠せない。
「――何、するんスか」
「キ、キセリョ……」
「この子、殴るってどういう理由っスかね」
「だって………」
「法的に訴えて勝てる理由が当然あるんでしょうね。衆人環視の中で、何もしていない相手に対していきなり暴力を奮う理由が」
「………ぁ……………」
怒鳴るでもなく淡々と紡がれる声は恐ろしいほど温度がない。
冷ややかな視線が社長令嬢を射抜く。
遠くから見ているだけでも震えるほどに怖いのだ。
至近距離からピンポイントで向けられている彼女にとっては言葉も出ないほどの恐怖だろう。
黄瀬涼太と言えば人の良い役がはまり役と思われていたが、この殺気と迫力ならマフィアとかでも余裕で演じられるんじゃねとかこっそり思っているのは、舞台も手がけている撮影監督ただ1人である。
そんな暗殺者も真っ青な殺気を打ち消したのは、やはりというか意外というか、被害者(未遂)のテツヤだった。
ギリギリと女性の腕を締め上げている黄瀬の手にそっと己の手を乗せ、宥めるようにその腕を優しく叩く。
「もう、十分でしょう。手を離してあげてください」
「だって……」
「だって、じゃありません。現場の空気を悪くしてどうするんですか。お仕事なんでしょう。皆さんだってお忙しいのにこれ以上待たせてどうするんですか。――貴女も」
そう言いテツヤは腰が抜けてしまったのか座り込んでしまった女性へと視線を向ける。
「僕がこの場にいるのが気に入らないのでしたら謝ります。ですが、撮影を円滑に進めるためだと思って我慢してください。なるべく邪魔にならない場所にいますので」
低すぎず高すぎない声音でそう告げたテツヤは、泣きそうになっている女性を安心させるようにとふわりと笑みを浮かべた。
思い切りの営業スマイルだが、初めて見る女性及びスタッフは気づかない。
女性は毒気が抜かれたようにぎこちなく頷いて元いた場所へと戻っていき、スタッフはあまりにも見事に修羅場を収束させてしまった美少女に感嘆の眼差しを向けている。
そして渋る黄瀬を宥めてカメラの前に送り出したテツヤは、周囲の視線を無視して実渕と雑談を開始した。
その後は恙なく撮影は終了し、黄瀬はテツヤを伴って帰路についた。
結局最後まで謎の美少女テツヤの正体は不明のままだったが、黄瀬が渋る仕事でもテツヤを連れていけば大人しくなるという話を聞きつけた社長の命令によって、その後も幾度となくテツヤは駆り出されることになる。
そしてそんな2人の目撃談が増えていくに従い、半年後には「キセリョと謎の美少女の仲をこっそりと見守り隊」なるものが発足され、驚くべきチームワークを発揮するこの隊員達によってマスコミの報道から守るために奔走してくれるのだが、あまりにも秘密裡に動いているため黄瀬もテツヤも気づかないのであった。
- 13.11.08