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久しぶりに飲むアルコールのせいだろうか、イザークは早くも気分が高揚してくるのがわかった。
それほど飲んだつもりはなかったが、今日は食事をしながら飲んでいるということもあり、すでにボトルを半分ほど空けていた。
普段の酒量からしてみると、確実に飲みすぎである。
ほんのりと頬が赤く染まり目元が潤んできたイザークを見て、ディアッカは内心で笑みを浮かべた。
今回は最初からイザークを徹底的に酔わせようと決めていたのだ。
試験があるからという理由だけで、恋人であるにも関わらず一方的に会う時間を減らされたのだ。
普段から真面目に勉強をしているイザークなら、試験前に根を詰めて勉強をしなくても、簡単にトップクラスに入ることなど可能なはずである。
それでも試験だからという理由で机に向かうのは、真面目なのか融通がきかないのか、おそらく後者であろう。
だが、イザークはよくてもディアッカにしてみれば容認できるはずもなかった。
今までのように遊びと割り切った恋愛なら、問題はなかっただろう。
今まで何度も試験期間ということを理由に、嬉々として不義理を通していたのだから。
だが今回は違う。
ディアッカにとってイザークとは、片時も離れていたくないほど大切で愛しい存在なのだ。
何度見ても飽きることのない整った容貌。
気の強さが前面に押し出された鋭い眼差し。
そして動くたびにさらさらと揺れる、鮮やかな銀の髪。
たかが試験如きにイザークと会う時間が減らされるなど、耐えられないことだ。
イザークの口から『試験が終わったら何でも付き合ってやる』という一言がなければ、どうなっていたかわからない。
(監禁でもしてたかもな)
目の前のイザークを眺めながら、ディアッカはそう思う。
もしかしたらイザークには自分の考えがわかっていたのだろうか。
普段なら自分の意見だけを突きつけるイザークが、珍しく譲歩案を持ち出したのはそれが理由なのかもしれない。
イザークに会えないのは正直辛かったが、それも今日で終わりである。
約束通り『何でも』自分に付き合ってもらおうとは思うが、今は2人きりの時間を楽しむのが先だ。
付き合いの長い(しかも現在は恋人同士である)ディアッカだが、イザークが泥酔した姿というのは未だに見たことがなかった。
元々あまり酒を好まないため、イザークが酔う機会が少ないのだ。
時折一緒に飲むときは少しの量で赤くなってしまう。
そんなイザークは可愛らしく、普段の憎まれ口を叩く態度からは想像もつかない。
本人は自覚していないのだろうが、何気ない仕草までも普段の3割増で色っぽいのだ。
さりげなく伏せられた視線とか、何気にかきあげられた髪の隙間から見える白いうなじとか、少し舌っ足らずになる口調とか、酔っ払うと時折見せる花のような笑顔とか。
誰にも見せたくないほどの可愛らしさだ。
イザークを酔わせたいが、その姿を誰にも見せたくない。
ということで、今回は酔ったイザークをたっぷりと堪能して、あわよくばそのまま美味しく頂いてしまおうと思ったのだ。
イザークは今回の企みには気付いていない。
(さあて、どうしようかな)
ディアッカはひっそりと笑みを浮かべた。
「あっ」
不意にイザークの伸ばした手がボトルに触れ、テーブルの上に倒れた。
半分ほど残っていた琥珀色の液体は、運悪くイザークの方に零れ腕と服を濡らしていく。
「大丈夫か?」
「あぁ」
酔っているため、イザークの反応は鈍い。
慌ててタオルを持ってきたディアッカに言われるままゆっくりと椅子から立ち上がる。
「あーあ、これはシャワー浴びないと駄目だな」
濡れて貼り付いたイザークのシャツをひっぱり、イザークは眉をひそめた。
もはや拭いて乾く程度の問題ではなかった。
「イザーク?大丈夫か?」
「何が?」
立ち上がったまま反応のないイザークを怪訝に思って声をかけるが、返ってきた返事はどこか虚ろなもの。
ぽや〜んとした視線で自分を見上げるイザークは、現状がわかっているのかいないのか。
まあ酔っているしと納得したディアッカの前で、イザークは自分の濡れた両腕に視線を移した。
むせかれるほどのアルコールの匂いに包まれたイザークは、自分の二の腕を伝う雫をぺろりと舐め上げた。
無造作に何度もイザークの白い肌に赤い舌が触れる。
それはまるで毛繕いをする猫のような仕草で、潤んだ目元と濡れた身体のせいか、どこか淫靡な印象を与えてしまう。
もちろんイザークは無意識なのだが。
「シャワー借りるぞ」
舐めて綺麗になる程度ではないとわかったのか、イザークはそのままバスルームへと歩いていった。
その様子を声もなく眺めていたディアッカは、銀の髪がバスルームへ消えた後、
「参った……」
困ったように金の髪をかき上げて、そう呟いた。
◇◆◇ ◇◆◇
火照った身体に冷たい水が気持ちがいい。
イザークは酔いを醒ますように、冷水のシャワーを浴びていた。
調子に乗って飲みすぎてしまったようだ。
頭がふわふわとしていて思考が定まらない。
アルコールがもたらす酩酊感が嫌いというわけではなかったが、咄嗟の判断力や行動力が鈍ってしまうのが難点だ。
軍人となるべき者が、いざという時に自分の身すら守れないようでは困るのだ。
それにしても、とイザークは思う。
今回は本当に飲みすぎてしまった。
公式なパーティーと違い、気を許せる相手と2人きりで飲む酒は美味しかった。
料理もすべてワインに合うものばかりで、さりげなく自分の嫌いな食材を省いている心配りも嬉しい。
「さすがはディアッカというところか…」
誰よりもイザークのことをわかっていると豪語するだけのことはある。
「お褒めに預かり光栄です、ってね」
「!?」
独白に返事が返ってきたことに驚いたイザークが振り返ると、入口にディアッカが腕を組んで立っていた。
「ディアッカ…!!」
「いい眺めだね」
にやにやと笑いながら、ディアッカは近づいてくる。
嘗め回すような視線に、イザークは羞恥に頬を紅潮する。
先程の冷水のお陰で多少酔いが醒めていた。
いくら恋人と言っても、勝手に浴室に入ってくるなど失礼だ。
「何考えてるんだ、貴様…!」
「あぁ?この状況で考えることは1つでしょ?」
やることもね。
そう言うとディアッカは自分の身体が濡れるのも構わず素早く動くと、イザークの両腕を掴み身体ごと壁に押し付けた。
「くっ…!」
タイルの感触を背中に感じ、イザークが眉を顰める。
「あれ?もう醒めちゃったんだ。やっぱり飲ませ方が足りなかったかな?」
「ふざけるなっ、ディアッカ!」
「ふざけてないって。愛しい恋人があんな色っぽい仕草で誘ってくれたんだ。男としては我慢できないでしょ、それは」
「な…っ!」
誘ってないというイザークの声はディアッカの唇によって遮られた。
「ん…ふぅ…やめ……っ……」
いつもの優しいキスと違い、貪るように激しい口付けに息もできない。
最初抵抗していたイザークも、アルコールの残る身体ではいつものような力が出るはずもなく、そして呼吸も苦しい現在の状況ではその抵抗もすぐに弱まってくる。
「イザーク…」
ようやく唇を離すと、イザークは立っているのも辛いのか、ディアッカに弱々しくすがりついたまま肩で息をしている。
頬を染め眦に涙を浮かばせるイザークの姿に、ディアッカは笑みを深くする。
「やっぱりお前可愛いよ」
音を立てて額にキスをして、ディアッカは手を滑らせる。
「あ…はぁ……」
耳元から首筋へと舌を這わせると、イザークの口から甘い声が漏れる。
イザークは耳が弱い。
そこに軽く息を吹きかけられるだけで足に力が入らなくなってしまうほどだ。
ベッドにいればそのまま愛撫に身を任せるだけだが、今回は場所がバスルームだ。
少しでも気を抜けば床に崩れ落ちてしまいそうになるのを防ぐため、力の入らない腕で必死にディアッカにすがりつく。
それでも力の入らない身体はディアッカに触れられるたびにふらつき、ディアッカもイザークの腰に回した手で身体を支えている。
「!」
ディアッカの指がゆるゆると侵入してくるのを感じて、イザークは驚いたように身体を強張らせた。
まさかこのまま最後までするつもりだとは思わなかったイザークは、驚いたようにディアッカを見上げる。
アイスブルーの瞳に宿るのは躊躇いと驚愕の色。
ディアッカは小さく笑った。
「悪いけど、俺も我慢の限界なんでね」
その声は欲望のため掠れている。
普段の声も艶があるのに、情事のときのディアッカの声は普段よりも更に色っぽく、その声で名前を囁かれるだけで身体の力が抜けてしまうほどだ。
ディアッカはそのことを熟知していて、イザークの耳元に囁きかける。
「いいだろ、イザーク…」
「あ……」
耳朶をくすぐる響きに、イザークの身体がしびれたように震える。
こうなったらディアッカを拒絶することは自分にとってもつらい。
場所が気に入らないが、今回だけは仕方ない。
イザークは小さく頷いた。
足を抱え込まれて指でほぐされた場所に、指とは比べ物にならない質量を持ったものがあてがわれる。
「あ…ああぁ―――!!」
押し入られる衝撃に、イザークの口から悲鳴とも嬌声ともつかぬ声が漏れる。
慣れた身体なので痛みはそれほどないとは言え、それでも本来は他人を受け入れる器官でないそこは無意識にディアッカを拒もうとする。
「く………っ」
何度抱いても初々しい反応を示す身体に、ディアッカは思わず苦笑する。
ただでさえイザークの中は狭い。
力で強引に押し入ることもできるが、そうするとイザークが辛い。
ディアッカはイザークの身体を愛撫することで、イザークの緊張を解いていく。
時間をかけてゆっくりと全部収めると、イザークの息が落ち着くのを待って腰を動かし始めた。
イザークの口から漏れる声に苦痛の色はなく、代わりに甘い響きが混ざるようになると、ディアッカは激しく腰を動かした。
動きについていけないイザークは身体を揺さぶられながらも必死でディアッカにすがりつく。
雪のように白い肌は上気して全身薔薇色に染まっている。
泣きそうな表情。だがそこに宿る官能の色に、ディアッカの欲望はますます深くなる。
激しく腰を動かし、形のよい唇を塞ぐ。
「あ、ああぁぁ!!」
ディアッカの精を自分の奥で感じ、イザークは大きく身体を震わせた。
そのままくずれ落ちるように倒れるイザークを抱きしめる。
「やりすぎた、かな?」
男同士では、どうやっても受け身の身体のほうに多大な負担がかかる。
不安定な体勢でディアッカを受け入れたイザークがつらくないはずない。
アルコールの力も借りているとなれば、気絶するのも無理はないのだろう。
最初のうちこそイザークの身体を気遣う余裕もあったのだが、それもすぐに消えてしまった。
イザークの嬌声を耳にすると、全身が熱くなって何も考えられなくなってしまうのだ。
欲望のままに身体を貪り、もっと啼かせてみたくなる。
こんなことは、どんな極上の女を抱いてもなかったことだ。
自分と同じ性を持っている身体を、ここまで欲しいと思えることが不思議なほどだ。
愛しているという言葉では足りないほど、イザークのすべてが愛しい。
ディアッカは銀の髪にキスを落とす。
「まだまだ夜は長いんだぜ、イザーク?」
そう言ってディアッカは笑った。
- 04.12.13