最近アスランの様子がおかしい。
話しかけても上の空だったり、何か真剣に考えこんでいるかと思えば急に明るくなったりする。
さすがにミーティング中とか訓練中とかは普通なんだけど、逆を言えばそれ以外はほとんどぼーっとしている。
それが一週間も続けばさすがに心配になってくる。
それでディアッカやイザークに相談したんだけど、
「あいつがおかしいのはいつものことだ」
って言われた。
夜も何か考えているらしくて、睡眠時間を削ってパソコンの画面とにらめっこしていて最近はあまり寝ていないみたいだ。
何か悩みがあるのかと思ってアスランに訊ねたことあるけど、大したことないって全然話してくれなかった。
僕はそんなに役に立たないのかな?
アスランは僕よりもずっと頭がいいし、しっかりしているし、確かに僕なんて必要ないのかもしれないけど……。
でも、一人で悩まないでよ。
一緒にいるんだから、僕にも君を支えさせてよ。
何だか悔しい。
僕ばっかり君に依存しているみたいで。
……いや、してるんだけどさ。
「あれ、アスラン?」
部屋に戻ったらアスランがいた。
何やってるんだろ。
真剣な表情で僕が入ってきたのにも気付いてないみたい。
マイクロユニット?
うわ、細かい。相変わらず器用だなあ。
「また新しいの作るの?」
傍に寄って手元を覗き込みながら訊いたら、ようやくアスランが僕に気付いたようで作業を止めて僕を見た。
「いや、これはトリィの交換用のパーツだよ」
「トリィの?何で?」
「最近少し反応が遅いみたいだし、作ってから結構経ってるからね。新しくした方がいいと思って」
細かいパーツを手のひらに乗せ僕に見せながらアスランが部品の説明をしてくれる。
でも、ごめん。全然わからないよ。
そんな僕に気付いたのか、アスランが小さくため息をついた。
だってマイクロユニット苦手なんだもん。仕方ないじゃないか。
僕はアスランみたいにお米に字をかけるほど器用じゃないんです。
それより……。
「トリィのことを考えてくれてるのは嬉しいけど、あまり無理しないでね。ただでさえアスラン忙しいのに、無理して倒れたら嫌だよ。最近食事も睡眠も足りてないんだから」
僕がそう言うと、アスランはにっこりと笑った。
アスランの全開の笑顔なんて、久しぶりに見るな。
僕が一番好きな笑顔だ。
「大丈夫だよ。もうすぐ終わるから。心配かけてごめんね」
反省してる?
なら許してあげよう。
数日後。
『トリィ』
「あ、トリィ!」
アスランにパーツを交換してもらったトリィは、確かに今までよりも軽やかに素早く飛ぶようになったみたい。
でも目を離すとすぐどこかに飛んでいってしまうので、その度に探しにいくのがちょっと面倒かも。
まあ、しばらくすると戻ってくるから探しに行かなくてもいいんだけど。
『トリィ!』
「キラ……うわっ!」
『トリィ!』
「あ……あの、キラ……ぐはあっ!」
『トリィ!!』
「キ〜ラ♪……うぎゃあぁっ!!」
そういえば最近ヴェサリウスで医務室の利用者が激増したって話を聞いたんだけど、何があったんだろう?
「僕のキラに手を出すなんて1億とんで56年早いんだよ」
アスランによってトリィに『害虫駆除プログラム』が新たに付け加えられ、キラに下心を持って接する人物を悉く排除に当たっていることを、キラは知らない。