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若きアスランの悩み


最近気になることがある。
それは愛しの恋人キラ・ヤマトに関することである。

俺の恋人、キラは可愛い。
それは惚れた欲目などではなくて、おそらく100人中100人がそう答えることだろう。
栗色の柔らかい髪、宝石のように輝く澄んだ菫色の瞳。
美少女と間違えられるほど整った、あどけない顔立ち。
性格は明るく素直で、喜怒哀楽がすべて顔に出るタイプだ。
そしていつもにこにこと笑顔を浮かべて、その天使の笑顔で軍艦内の殺伐とした周囲を和ませてくれている。
ヴェサリウスに搭乗することになり、最初のうちこそ緊張と不安で暗い表情が多かったが、すでに半年が経過している現在ではそんな不安もすっかりなくなり、周囲と打ち解けている。

あぁ、言い忘れていたが、キラはヘリオポリスの学生で第一世代目のコーディネイターだ。クルーゼ隊がヘリオポリスのG奪還作戦の時に運命の再会をしたのだ。
あのときのキラの驚いた顔はとても可愛かった。
大きな目を更に大きく見開き、ぽか〜んとした表情で俺を見上げるキラは、目の前の地球軍兵士を倒そうとしていた俺に任務を忘れさせるほどに魅力的だった。
どうやらそのとき命拾いした地球軍兵士はアークエンジェルとかいう戦艦に乗っているらしい。
別にどうでもいいが。
その時俺はGと一緒にキラを連れて帰ってきた。
キラには反対されたが、そこはそれ。


愛の力でなんとでもなるものだ(きっぱり)。


まあ、そんなこんなでキラがヴェサリウスに搭乗することになり、そして偶々キラのプログラミング能力に気付いたクルーゼ隊長の協力の下、晴れてキラは俺と同じクルーゼ隊の一員ということになったのだ。
用意された制服が赤だったことでイザークが「こんな素人に赤を着せるなんて…」と文句を言っていたが、心配していたほどキラに対して冷たく当たるようなことはなかった。
もし何かしたら、戦闘中に背後から誤爆を装って撃ち落してやる。



…いかん、話がそれてしまった。
そんな可愛い恋人だが、本人は自分の魅力について全く気付いていない。
自分の存在がどれだけ他人を惹きつけるかなど、まったく頓着していないのだ。
そしてそんなキラだから俺の目を盗んで声をかける輩の多いこと多いこと。
俺が傍にいるときはガードしているが、どうやら敵はキラが一人のときを狙って声をかけているようだ。
最近キラの私物の中に見知らぬものが増えているのに不審に思ったので聞いてみたら、数名のクルーからもらったというのだ。

これは俺に対する挑戦と見ていいのか、いいんだな?

思えばキラは月にいたときから警戒心のない子供だった。
お菓子をあげると言われて連れ去られそうになったこと数十回、道案内をしてほしいと言われて連れ去られそうになったこと数回。両親が事故にあったと言われて連れ去られそうになったこと数回etcetc…。

知らない人にはついていっちゃいけません、と何度諭しても無駄だった。
素直というよりは頭が足りないんじゃないかと疑ったことも一度や二度ではない。
たとえキラの知能がどうであれ、俺のキラへの愛は揺らぐことはないが。

問題は今までのことよりも、これからのことだ。
キラへ接触してくる輩は上手いこと俺を避けているようで、その正体はまだわからない。
キラに聞いても俺が何をするか気付いているのか、覚えていないとはぐらかされてしまうのだ。

こうなったら最後の手段をとるしかない。
キラの貞操は俺が守るんだ!



その夜から、アスランのマイクロユニット製作が始まった。