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日本家屋と和風美人


車に揺られてやってきたのは見事な日本家屋。
見るからに「名家の家です」って主張している豪邸。しかも和風(ここ重要)。
家も素敵な純和風なら、庭も当然それに相応しく純和風。
この豪華な庭をどう説明したらいいのでしょう。
強いて言うなら、前の人生で見た浅草寺の庭に良く似てます(期間限定公開)。
我が家も相当広いけど、残念なことに我が家は純洋風。
噴水とかロータリーとか庭園とか温室とかはあるけど、和風なテイストは皆無ですからね。
自宅に池とか川とか作れるんだと感心です。
それにしても物凄く広い家です。むしろこれ一般家庭なんでしょうか(私が言うな? ごもっともです)。
綺麗に整えられた松の木なんて見るからに立派で、波のような模様が描かれた石庭や(『枯山水』と言うそうです)、これはもう庭というより芸術ですよ。
凄いなぁ。
景ちゃんに手を引かれるままずっときょろきょろ見ていたのに気付いてたお母さんに「邪魔をしない程度なら」という許可を得て庭を散策することを許可してもらいました。
あまり歩き回ると迷子になりそうなので、御屋敷の周りを見て回るだけにしたのですが、なんですかこれ。
外見子供ですけど、中身はプラス18歳ですからね、それなりの価値はわかりますよ(伊達に修学旅行で京都に行ってない)。
多分ですけど、築100年とか経ってますよね。
だって雰囲気が昔のお寺とかと良く似てますもん。
日本文化大好きの私には、まさに夢の世界。
パラダイスがここに…っ(テンション上昇中)。

「景ちゃん景ちゃん、すごい綺麗」
「確かにが好きそうだね」
「お水もキラキラしてるよ。わき水とかなのかな。魚もうれしそう」

水の透明度が高くて、池にいる錦鯉が光に当たって物凄く綺麗です。
あ、滝発見。
私、この庭に一日中いられる自信があります。

、そろそろ母さん達のところに戻らなくちゃ」
「もうちょっと。あ、椿だ」
「あまり遠くに行くと迷子になるよ」
「だいじょうぶ。お屋敷までの帰り道なら景ちゃんが覚えててくれるから」
「まったく…」

そんなことを言いつつも、一緒にいてくれる景ちゃんに感謝。
だって私もうすでに帰り道覚えてないですからね。
屋根は見えるからそっちに歩いていけば帰れるだろうけど、大きすぎて入口がわからないなんてことになりそうな予感がします。

それにしても、ここは一体誰のお家なんでしょう。
お母さんの知り合いだということだけはわかるのですが(何しろ笑顔が輝いてた)、そんな話聞いたことないし。
まぁでも跡部家ですからね。政財界のお偉いさんとかでも驚きませんよ。
いざとなったら子供の武器を使って知らないふりします。
嫌な5歳児ですね、我ながら。
そんなハイテンションで庭の散策を初めてから結構な時間が経って。
東屋らしき場所に到着しました。
周囲をぐるっと小川に囲まれた東屋は木陰に作られていて、避暑をするには最適かもと思ったら、そこに人の姿。
私たちと同じくらいでしょうか。
白地に黄色の模様がある着物を着た女の子です。
真っ黒な髪は肩に届くくらいで、肌は白く、まるでお人形さんのよう。
私たちに気付いた美少女は黒目がちの目を大きく瞠り、そして私たちの繋がれた両手を見てにっこりと笑いました。おぉ、和風美人。




「君たち、誰? 御祖父様のお客さん?」



これが私と日本での初めてのお友達、萩くん――滝萩之介くんとの最初の出会いです。
原作じゃほとんど活躍のしなかった萩くん。
まさかこんなお坊ちゃまだったとは夢にも思わなかった私です。
あ、萩くんの御祖父様は大物政治家だそうです。納得。

それにしても。
あまりにも可愛いので女の子だと間違えてしまったのは、私と景ちゃんだけの秘密にしたいと思います。


  • 11.03.29