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凱旋帰国、そしてベッドの中からこんにちは


皆様、こんにちは。
パーティーに連れまわされること数回、何かもうわけのわからない状態のままあっちこっち引っ張りまわされていたワタクシ跡部ですが、このたび何とか景ちゃんの待つ英国へと戻ってまいりました。
いやもう、ここ数日のパーティー三昧には本当に勘弁してくださいと言いたかったです。
軽くパーティーというものにトラウマが起こるんじゃないかという程度には満喫しましたよ。
5歳児を何時まで突き合わせるんだって話ですよね。
おかげでワタクシの睡眠時間毎日5時間以下でした。
ただでさえこの身体は人より弱いんです。喘息持ちなんです。虚弱体質なんです。

はい、察しの良い皆様ならわかりますよね。



帰りの飛行機にて発作
   ↓
根性で耐える
   ↓
意識を失う
   ↓
空港につくなりストレッチャーで病院へ緊急搬送
   ↓
強制入院




というパターンです。

ちなみに飛行機の中で私の意識は途切れてるので、目が覚めたら死にそうな景ちゃんの顔があってびっくりでした。
景ちゃんはカレン先生にかなり詰め寄ったらしいのですが、元凶は先生ではなくパーティーで出会った謎のフランス人(世界的に有名なヴァイオリニストらしいけど名前なんて覚えてやらない)です。
何だか良くわからないうちに小脇に抱えてパーティー会場を梯子させられた私の恨みは大きいんです。
おかげで帰国が3日も遅れた上に発作で入院ですか。笑えませんね。

まぁ、無事帰国できたので良しとしようじゃありませんか。
あ、勿論入院費用はきっちりフランス人(世界的に有名な以下略)に請求してもらおうと思います。
お父さんと景ちゃんが何やら報復を考えているみたいなのですが、今回ばかりは止めるつもりはありません。
5歳児のちまっこい身体で喘息の発作は苦しいんですよ。
まったく、また三途の川に遭遇なんてことになったらどうしてくれたんだか。

そんなこんなでまたもや完全看護という言葉なんて存在しないかのように病室に入り浸る景ちゃんですが、個室は広くて寂しいので正直言うと嬉しいです。
うん、学校休んでるとか咎めちゃ駄目だよね。言っても聞かないし。

「はい、。ミルクティーだよ」
「ありがと、景ちゃん」

英国に来て何が嬉しいって、紅茶がとんでもなく美味しいのです。
これでも生まれる前から紅茶大好きだったので違いくらいわかるのですが、茶葉は同じはずなのに水が違うだけでこんなに味が変わるんですね。びっくりです。
しかも景ちゃん手づからの愛情たっぷりキャンブリックティー。
美味しくないわけがない。

食事制限とかいいのかなと思うけどまるっと無視しておきましょう。
イギリス人の医師が紅茶を禁止するとも思えないし。うまうま。

それにしても病院に運ばれてもうすぐ1週間。
いつになったら退院できるんだか。
私の経験から言うと今日明日には退院できると思うんだけど。

その証拠に景ちゃんの手土産がないんです。
毎日これでもかってくらいの手土産を持ってやってくる景ちゃんが手土産を持ってこないのは、ここに長居する必要がないからということなので。
そろそろかなと思えば廊下から聞こえてくる複数の足音。

「やあ、。具合はどうだい?」
「ウィル先生」

ここ数日で見慣れた眼鏡の先生は、ロンドンでの私の主治医です。
何で小児科?って思うくらいの無表情なのですが、何故か子供からの人気は高い28歳(独身)なイケメン先生。
ちなみに子供たちだけでなくお母様方からも熱い視線を受けています。
ついでに言うならお母さんの従兄だそうです。
美形DNA恐るべし。

「あぁ、顔色も随分良くなってるね。熱がないようだったら今日退院できるけど、どうする?」
「本当ですか?! じゃあ今日かえります!」

やったやった帰れるんだと景ちゃんと手を取り合って喜んでいたらウィル先生に笑われました。あうぅ。

「景吾も心配していたからようやくひと安心だね。でもあまり無理をしないように。景吾がついていれば問題ないと思うけど。頼んだよ」
「当然」

今回の件で景ちゃんの中のカレン先生の信頼度が下がったような気がするんだけど、カレン先生悪くないからね。
何度も言うけどあのフランス人(世界的に以下略)が原因だから。軽い拉致だったから。
あのカレン先生を振り回せる人がいるのに驚いたくらいだから。
カレン先生は目が覚めた時には傍にいてくれたんだけど、どうしても外せないコンサートが日本であるというので出かけていきました。
本当ならそのコンサートについていって久しぶりの日本を満喫する予定だったのに…。
えぇい、あのフランス人どうしてくれよう。
そんなことを考えていたらぽんと頭に軽い衝撃。

「ウィル先生?」
「君はアヤに似て身体が弱いから心配だよ。何かあったらすぐに連絡しなさい。夜中でも朝方でもいつでもいいから。いいね」
「はーい」

くしゃりと頭を撫でられて頬にキス。
景ちゃんとお父さん以外にはあまりされないんだけど、ウィル先生だと嫌じゃないのが不思議。
家族愛だからかな。

そんなことより退院です。
しばらく屋敷から出られないとは思うけど、病室よりもはるかにマシ。
ヴァイオリンちょっとなら弾いてもいいかな。
あぁでもそれより。

「景ちゃん、あのね。帰ったら景ちゃんのピアノ聞きたいな」
の頼みならいくらでも」

そう言って景ちゃんがほっぺにチュ、ってキスしてくれました。
妹の役得というやつです。許してください。


  • 11.01.13