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家庭の事情


皆さんこんにちは。跡部(2歳)です。
現在空の上です。ついでに言うなら飛行機の中です。
何でかわかりませんが退院して家に帰るかと思ったらそのまま空港に連れていかれて、これまた何でかわからないまま飛行機に乗せられてました。
家帰る道と違うなーとか思ってたけど、税関通るまで気づかなかった私はちょっとやばいかもしれません。
家族旅行かなと思ったのですが、さすがにこのタイミングで旅行はないだろうと。
だって私に対してはとんでもなく過保護な家族がですよ。
退院したばかりの、しかも完治もしていない病みあがりの愛娘を海外旅行に連れて行くわけがないじゃないですか。
何か意図があると思って間違いないはず。
ここはやっぱり聞いておくべきですよね、うん、そうしよう。
まずはお隣に座る景ちゃんに訊ねるべく、袖をくいくいと引っ張ってみます。

「ねえ景ちゃん…」
、何飲む?」
「あ、じゃあ紅茶で…じゃなくて景ちゃん、」
「寒くない? 毛布持ってきてもらおうか」
「ううん、だいじょうぶ…あの、」
「退屈だったら映画観る? それとも本がいいかな。本もいくつか持ってきてるから何がいい?」

お願いだから話を聞いて(滝涙)。

何だこれ。狙ってやってるのか、無意識なのか。
景ちゃんが私に意地悪をするわけがないので(恐るべき刷り込み)わざとじゃないと思うんだけど、何でまたこんなに彼は上機嫌なんでしょう。
いや、景ちゃんは私といる時は常に機嫌いいけど。
家族旅行に文句を言うつもりはないので(実際体調もそれほど悪くないことだし)、せめてどこに行くのかぐらいは知りたい。
お母さんはうとうとしてるので声をかけるのはちょっと気が引けます。
ここはやはり一家の大黒柱の父に聞くのが一番でしょう。

「おとうさん、どこに行くの?」

小首を軽く傾げて訊ねると、書類を読んでいた父が顔を上げて答えてくれました。
にっこり笑顔。相変わらず美形です。目の保養。

「ロンドンだよ」

まさかの英国。
片道16時間。幼児を連れて行くには遠すぎると思うのは無理ないと思います。

「りょこう?」
「ん? あぁ、はまだ知らなかったんだな。ごめんごめん」

あれ?
何でしょう。
この、聞いたら後悔するぜ的な予感は。

「おとうさん…?」
「実はロンドン支社の経営を任されてね。数年ほど向こうで仕事することになったんだ。の喘息にもいいし、ついでだから家族みんなで行こうと思ってね」

いや、うん。わかってましたよ。
2歳児には主張する権利なんてないってことぐらい。
でもさ、引越しなら前以て教えて欲しかったなぁとか思うのは自由ですよね。

ということで、しばらく日本とお別れです。
えと、戻ってこられる…よね?


  • 10.07.14